【職員インタビュー】8年働き続けたのは「分かりやすい」会社だから『サクレ江戸川』小林さん
グループホームサクレ江戸川6・7棟のサービス管理責任者の小林さんにお話を伺いました。
SHIPには入社して8年、福祉職の経験は20年というベテランスタッフさんです。
介護福祉士・精神保健福祉士・福祉住環境コーディネーターなどの資格をお持ちです。
職員の育成・採用にも携わる中でのご自身の考えや、長く福祉の世界で働いてきて感じた他法人とSHIPとの「ちがい」についても伺いました。
仕事で体調を崩し、自分と家族のために転職
--これまでの経歴を教えてください。
小林
福祉業界に入ったのは20年前からです。体調を崩して一度休職し、SHIPで復職して、もう8年目になります。
介護、医療、障害福祉と、福祉の名のつくところでは一通り働いてきました。
過去の生活困窮者の支援の現場では、介護サービスが足りていないと感じ、父親が認知症だったこともあって、介護サービスの立ち上げに関わりました。
SHIPに入る前は訪問看護の仕事をしていました。その会社は複合的な介護サービスを展開している会社だったのですが、新たに訪問看護ステーションを開設することになり、その責任者に抜擢されました。
しかし、当時は訪問看護に関する知識や資格のない状態でとても苦労しました。それでももがき続けましたが、最終的に組織は上手くいかず、すごく責任を感じ、気づいたときには精神疾患になっていました。
身体が自由に動かず、脳みそがぐるぐる回って、何も頭に入らないような状態でした。自分で精神科を受診し、適応障害と診断され、もうどうにもならないと感じて休職しました・・・
SHIPでは2015年から働きました。当時は薬を飲んでいたので頭がフラフラでした。そのため、週2日、午前のみ、アルバイトからの再スタートでした。
サクレ江戸川の生活支援員として働き、その後にエスプリドゥ(就労継続支援B型)へ異動して職業指導員とサービス管理責任者を務めました。
2022年4月からは、現在のサクレ江戸川6・7棟のサービス管理責任者になり、一年経ったところです。
--SHIPを転職先に選んだ理由を教えてください。
小林
前職(訪問看護ステーション)のころから、ラファミド八王子に看護師の派遣ができないかと事務局の上田さんから声掛けをもらっていて、つながりがありました。
休職中は6ヶ月くらい引きこもりの状態でした。その頃はピアサポートという言葉もなく、一人でもがいている状態だったのですが、月1回くらいの頻度で上田さんから「どう、元気?」と連絡がありました。
「社会復帰したい、早くしないと」とあせっているときに「SHIPでアルバイトしてみない?」と声をかけてもらえたのがキッカケです。
また、息子が発達障害だったこともあります。
当時の息子は3~4歳でしたが、普通の言葉を話さなくて、口に出すのはまるで宇宙語のようで、妻と悩み、保健所の発達検査を受けて、ASD(自閉スペクトラム症)と分かりました。
自分は適応障害、息子はASDで、息子のためにももっと勉強をしたいと思いました。
SHIPでは障害に関する知識や支援スキル、自分自身の適応障害の原因となったプレッシャーへの対応などに関しても、広く学べる環境があるので、自分のためにも家族のためにも学びを深めながら働けると思い、入職を決めました。
職員全員で利用者様の成長の過程を共有できることがやりがい
--現在の仕事内容を教えてください。
小林
個別支援計画の作成と、その計画にもとづいたサービス提供が維持・管理できているかのマネジメントが一番の仕事です。
グループホームの建物の管理や修繕、書類管理や請求事務、その他にも様々なイレギュラーは頻発しますので、その対応に追われることもあります。
サクレ江戸川には新人スタッフが多いので、サービス管理責任者ではありますが、プレイングマネージャーのような形で、私自身も直接支援をしながら、スタッフのOJTをおこなっています。
--仕事の「やりがい」はどんなところに感じていますか?
小林
やっぱり、利用者様のできることが増えることにやりがいを感じます!
支援で大切ななことは、「できるかな」「できないかな」「できそうかな」の3つの仮定と観察です。
スタッフ全員で、連携して、観察して、「できそうだな」と判断できれば、次はどうお手伝いすれば「できそう」が「できる」になるかと考えて、具体的な支援を提供していきます。
「できそうで、できなかったことが、できた!」というプロセスをチーム全体で体感しながら達成感も共有できる、それがしっかり見て取れることが自分のやりがいになっており、またチーム全体で動いているからこその魅力なんだと感じています。
あえて「福祉未経験者」を採用したのは「チーム」のため
--仕事で大変なこと、今後の課題を教えてください。
小林
大変なことはたくさんあるんですけれど、「仕事なので簡単なことはまずない」という心構えを持ったスタッフが集まれば、多分なんでも乗り越えられるのかなと思います。
ただ、チームが一つの目的に向かえるか、そのために必要なことをどれだけ伝えられるかが一番むずかしく、サービス管理責任者である自分の課題だと感じています。
事業所には、福祉未経験のスタッフが3名います。
実は、あえて福祉畑以外から採用させてもらいました。
主観や色眼鏡で支援を組み立てたり、希薄な情報で動いたりせず、まずは「チームサクレはこの旗のもとに動いているのだ!」と理解してもらいたい、それには未経験の方がスッと頭に入るのではないかと思ったからです。
もちろん、最低限の知識やルール、対人援助職に必要なことは学んでいただかないといけないので、育成に時間はかかります。
まだまだ育成が下手だなぁ~と感じながらも、あえて選んだこの道を突きつめていくことに、大変さと同時にやりがいを感じています。
――新人スタッフさんたちの目的の理解は、狙い通りいっているのでしょうか?
小林
どうですかねー?? まだまだ時間はかかるのだとは思います。
でも、みんなで補い合える関係性でのチームを目指して、育成をおこなっています。
持論ですが、チーム支援にスペシャリストはいらないんですよ。
「小林さんがいないと」とか、「小林さんがいるから大丈夫」みたいな組織は上手くいかないと思います。
一人の力に頼るのでなく、みんなが高い水準で補い合えるチームであれば、イレギュラーなことがあっても安定して対応できると思います。
そのためにまず心掛けていることは、新人でもベテランでも、自分で考えて挑戦し、行動してもらうことです。
上手くいかないときに、上司である私が率先して動いてしまうと、「小林さんに任せればいいじゃん」になってしまい、それだと私も休みがとれなくなりますし、私が異動したら崩れてしまいます。
サービス管理責任者である私が一歩引くことで、新人さんも悩むと思いますし、上手くいかないこともあるし、私の白髪も増えると思うのですが、組織の幹が太くなるために必要なことなのかなと思います。
これは、SHIPに入って分かったことですね。
前職の高齢福祉や訪問看護では、そこができていなかったから自滅してしまったのだと思います。
社長から「お前が社長になったつもりで訪問看護ステーションを立ち上げろ、完成させろ」と言われ、「自分がやらなきゃ」と必死になって、気づいた時には組織も自分もダメになっていました。
SHIPに入ってなぜダメだったのかがすごくよく分かりました。
内部研修などを通じて、支援の在り方や育成の視点などについても教えてもらえる機会が多いことはありがたいです。研修でインプットしたことをすぐにアウトプットできる環境もあります。
気づけば8年もよくここでやっているなと思いますが、家族や自分自身のための学びも多く、続けるだけの魅力があるからですね。
明確な目的や理由をしっかり説明してくれる、優しい会社
――職場の雰囲気や魅力を教えてください。
小林
サクレ江戸川6・7棟の雰囲気は、とても和やかですね。
現在のスタッフは、正社員5名、パート7名、1日に少なくとも5人の職員が出入りしています。日勤のパートさん、夜勤者さんも含めて、職員全員の仲が良いというか、コミュニケーションが取りやすいと感じています。
お互いにあの人は苦手みたいなこともないですし、「利用者様の生活の底上げを我々で頑張ろうね」という同じ意識のもと、細かな伝達を個々にしてもらっています。
ここに集まった人、一人ひとりが良い人なのだろうと感じています。
また、好奇心旺盛な人が多いですね。
SHIPが掲げる「根拠に基づく支援」に向けて、内部研修の受講をすすめたり、私の経験からの助言をおこなうなど、いっしょに実践してみることも多いですが、支援への学びに対してみんな積極的で、すごく良い雰囲気だなと感じています。
――SHIPの組織全体の魅力や雰囲気はどうでしょうか。
小林
ひと言でいうと「分かりやすい」ですね。
目的をしっかり伝えてくれ、その理由をしっかり添えて教えてくれる、優しい会社だなと思います。
例えば、グループホームに空き部屋があるときは「サービス提供の資金のため」に満室にする必要があるのだと、理由をしっかりと教えてくれます。
1年前はコロナの影響もあって6部屋も空室があったのですが、現在はいろいろなところの力添えによって満室になりました。
給与などに関してもしっかりと教えてくれます。
新人スタッフさんで25歳の方がいます。その方を例にすると、定年まであと40年あるわけです。初任給は約25万円、1年間働いたら昇給もするでしょうし、定年までの人件費は1億5千万から2億円近くの人件費がかかります。
この元手になるのは支援を維持する費用ですよね。
グループホームに支援を求める人たちが入居しているから、支援の費用をいただけて、そしてお給料も出せるわけです。
SHIPでは、お給料を含めた支援に必要な資金ために「5年後はこういう風に新たな事業所を開設していきますよ」と、明確なビジョンを掲げています。
事業所が増えることで有能なスタッフが役職に就けますし、将来の立場・役職がどうなるかも具体的にイメージできますし、説明もできます。
よく採用面接のときに、志望者から「前の組織ではお金お金と言われていた」なんて話も聞くことがあるんですね。でも実際に資金が必要なことも事実です。
福祉サービスは、支援の内容が違えど国からもらえる金額は同じなので、会社によっても収入の差はそんなにないわけです。でもそれぞれの会社によっては人事考課の制度があり、お給料の差が生じます。
その部分を説明できる人がSHIPには多いです。自分も育成や採用に携わっているので、新人に分かりやすいように伝えていくことが与えられた仕事のひとつだと思っています。
他にもSHIPの魅力はたくさんありますが、自分がこの組織で働いている一番の理由は「自分の将来的なビジョンが分かりやすい」ことですね!
長年福祉の世界で働いてきましたが、こんな会社はなかなかないなと思います。なんか熱く語っちゃいましたね(笑)。
――他に、働きやすさなど、転職して変わったことはありますか。
小林
働きやすさは、天国ですよ(笑)。残業なしの定時で上がれます!
転職前は本当に大変でした。自分のマネジメントスキルがの低かったこともありますが、高齢福祉の業界はイレギュラーなことも多く、24時間体制のため、夜中に電話がかかってくることも多かったです。
今は、自分の時間を何に使おうかと考える余裕があります。
キャンプが趣味なのですが、年間で30泊くらいは一人で山にこもっていますね。
それでキャンプで身に着けた技術を、支援の中に還元することもありますね。
また、役職者になると求められるのはリーダーシップとマネジメント力ですが、タスク管理やイベント管理など、参考になるものがSHIPにはたくさんあります。
学べる環境の中で、これまで色々な組織で管理職をやってきた経験の中から、良いところだけ取って今の自分が形成されているかなと感じています。
対人支援で必要なのは「自分の主観・常識」をどこまで捨てられるか
――どんな人と働きたいか、どんな人がSHIPに向いていると思いますか?
小林
二つあります。
まず支援の仕事に興味をもって参加できる人です。
支援を実行する際、プランが3つあったら一番有効そうなプランを試しますが、上手くいかなかったら二番目、三番目と試すことになります。
そういった時に、「なんでこうなってしまうんだろう?」と、積極的に考えられる人と一緒に仕事したいなと思います。
もう一つは、「課題の分離」ができる人です。
福祉の心構えでいわれる言葉なのですが、「自分は自分、人は人」と切り離しがはっきりできる方、自分の主観と他人の主観をちゃんと分けられる人がいいかなと思います。
昔の自分は余計な詮索をしたり、他人のこころを深堀したり、良かれと思って言ってしまってそれが押しつけがましくなっていたりしたんですね。
障害者も、健常者も、自分の主観や考えがあって、それを大切にしていると思うのですが、そこに安易に踏み込むからトラブルが発生しやすくなると思っています。
――最後に、福祉で長く働くために必要なことは何だと思いますか?
小林
考えるとむずかしいですが・・・ 「自分の主観・常識をどこまで捨てられるか」だと思います。
福祉は「対人」の仕事です。
利用者様を中心に、個別支援計画のもとに月1回のケース会議で方向性を決めて、チームで支援をおこなっていきます。
一般常識によるやり方が通用しないことが多く、以前の職場とは違うやり方であったり、いろいろな方法を試していくことになります。
それぞれが自分の生きてきた境遇や経験の中で、自分なりの常識を持っています。
その個人の常識が基準となり、良かれと思って行動してしまうと、チーム支援が乱れる要因となり、最終的には利用者様への混乱につながってしまいます。
これは、対人援助の仕事をしていく中で、必ずぶつかる課題だと思います。
それを分かっていることと、それに気づくこと、そして柔軟性のある考え方ができるか、自分の常識をどこまで捨てられるかが、長く仕事するために必要なことではないかと感じています。
小林さん、ありがとうございました。
福祉の仕事を長いこと勤めてきた中で、いろいろな会社に携わってきたからこその視点でお話が聞けました。
熱い気持ちを持ちつつ、しっかりと休める環境で仕事をできている。
SHIPがそんな会社になっているのを感じることができました。
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元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士