【職員インタビュー】初めての福祉の世界で、自分の人生も楽しいものに変わった「サクレ江戸川」徳広さん
グループホーム「サクレ江戸川」(以下、サクレ)の世話人の徳広さんにお話を伺いました。
福祉はまったく未経験で転職されて、2020年11月に入社。
未経験者としての障害者支援に携わった感想や、「未経験者も歓迎!」としているSHIPは実際にどうだったか、などなど質問させていただきました。
新型コロナウイルスをキッカケに福祉の道へチャレンジ
--転職までの経緯や理由を教えてください。
徳広
四年制の大学を卒業して、食品スーパーに就職し、14年半勤めました。主に野菜などの販売の部門で、5~6店舗を異動し、店長も経験しました。
転職のキッカケは新型コロナウイルスの流行です。
SHIPに入社する半年前からコロナが広まり、リモートワークなど世の中の働き方が変わる中で、外出規制があり、今後の人生を自分なりに考える機会になりました。
結婚して子供もいるのですが、家族と過ごす時間もまったく取れていなかったので、「このままでいいのかな・・・」という気持ちもあり、生活を変えるためにも転職してみようと思いました。
――SHIPに入ったきっかけを教えてください。
徳広
転職活動中に、スカウトメールをいただいてSHIPを知りました。
福祉の道を選んだのは、今までの人生で何も資格がなかったので、「武器が欲しい」と思ったからです。
今後を考えると、介護や福祉系が必要な業種かなと考え、この業界に携わりたいと思いました。
ホームページで理念などを見ながら、「ゼロからスタートすることも応援してくれる事業所なのかな」と感じました。
年齢的にも転職に対してネガティブな気持ちもあったのですが、思い切ってチャレンジしてみようと、入社しました。
――現在の仕事内容を教えてください。
徳広
サクレの3棟と5棟を担当しています。中軽度の知的・精神障害をお持ちの方が対象のグループホームで、アパートタイプの滞在型ユニットです。
基本的には身の回りのことをできる方が多く、一人暮らしを目指している方もいらっしゃいます。
声掛け、状態把握、相談援助など、全体的に、一歩引いたところでの支援が主な仕事です。
平日は職場や日中活動(福祉サービスによる活動の場)へ朝から出かけている方が多く、週末の方がみなさんお部屋にいらっしゃる確率が高めです。スタッフは世間が休日のときの対応が多くなるので、平日よりも忙しくなるかもしれませんね。
人によって3~4日に1回、または週単位・月単位に1回で面談の機会を設けて、利用者様の課題や困りごとを伺って、日常生活や必要な行政手続きなどのフォローをしています。
調子が悪くて仕事や日中の活動を休んでいる方がいたら、お話を聞いて通所先である福祉事業所と状況を共有するなど、連携業務も多い印象です。
今年は、3棟が5月からリニューアルして、見学対応や体験利用、情報収集などの仕事も多かったです。5月に新しい利用者様が一気に3名入居し、バタバタしていましたが、やっと落ち着いてきたところです。
――仕事のやりがい、大変なところを教えてください。
徳広
やりがいは、利用者様が一歩前に出る瞬間に寄り添えるところ、チャレンジが達成できたときにいっしょに喜べるところです。
生い立ちや病気の症状によってチャレンジすること自体がむずかしいことも多いので、新しいことができたとき、そして、それによって生活の質が少し向上したときは、そばで見ていてすごくうれしくなります。
大変なところは、事務作業など、利用者様の支援ばかりではないところですね。
特に3、5棟だと日中にわたし一人で対応することが多いので、内部監査や、虐待研修の周知、夜間との連携など、マルチタスクが必要です。
初めての福祉職での経験と、人生の大きな変化
――転職してどうだったか教えてください。
徳広
福祉職に転職して感じたのは、人の人生に関わる仕事であるということです。
今までの接客業だと、人とは接しても深いところまでは関わりません。この仕事は生育歴(生まれてから今日まで育った歴史)から知ることになりますので、言葉ひとつを取っても、本当に気を付けて対応しないといけないと感じます。
関係が一瞬で壊れてしまうこともあるので、すごく気を使うというかむずかしさを感じますね。
初めのころは、利用者様との関係が大変でした。
福祉業界は担当が変わることが結構あると思います。でも、その後の後任がすぐに信頼されるとは限りません。
特に私なんて福祉ゼロなので色眼鏡で見られますし、最初はよそ者扱いでした。利用者様からしたら「経験がないのにえらそうに」と思うこともあったでしょうし。その中で支援していくのはしんどかったですね。
ただその関係性が変わったときの喜びは大きかったですね。
「徳広さんだからいっしょにやれるんだ!」と言ってもらえたときはすごくうれしかったです。
私の人間性を認めて信用してもらえて、やっと支援の歯車が動き出したと感じました。かなり時間はかかりますけどね。1年以上はかかったと思います。
先輩の職員にケース会議などでどう対応していけばいいか、その都度相談できたことも、最初の壁を乗り越えられた要因のひとつです。
それと『ゼロからのスタートなのでがんばれた』というのもあります。
ある程度の困難はあるだろう、その中でやっていくしかないと腹をくくっていました。
――障害のある方に関わることは初めてだったのでしょうか、そこで今までと変わったことはあるでしょうか。
徳広
そうですね、身近にそういった方がいなくて関わる機会がなく、初めてです。
まず、こんなに困っている人たちがいるのだという事実に驚きました。
そして今は、そこで支援をできることに喜びを感じていますね。
実は、自分も子供のころに「人と違うのかな・・・」と悩んでいたことがあるのです。
小学校のころ赤面症で、すごくあがりやすくて、ネックでした。
それについても、SHIPで内部研修を受けて理解することができました。
自分は何が苦手だったのかが具体的に分かり、それに対する対処法も学んで、あのころの自分を理解でき、今はすごく生きやすくなりました!
SHIPに入って、自分の人生にとってはそれが一番大きい変化かもしれません。
前はすごく悲観的で、不安で緊張しいだったんですけど、知識を得ることによって、ポジティブに考えられるようになれて、楽しく生きた方がいいなという原点に戻れたように感じます。
本当に性格が変わって、人生がすごく楽しくなって、ここに入って良かったと思います。
ゼロからでもチャレンジできる職場
――職場の雰囲気、魅力を教えてください。
徳広
サービス管理責任者の長澤さんが、スタッフのいろいろな意見を否定することなく、チャレンジすることをすごく応援してくれる方なので、助かっています。
意見をいえる雰囲気、チェレンジできる雰囲気、自分でまずやってアドバイスをもらえる雰囲気が魅力です。
SHIP全体でいうと、ジョブローテーションのシステムは魅力だと思います。自分がやってみたい事業にチャレンジできる機会が1年に1回あるのはすごくいいと思います。
あとは休日ですね、そこに尽きると思います。転職の際にも一番大事に考えていたことですが、プライベートと仕事のメリハリがつくので。
また、残業を強要するような事業所ではないですし、働くスタッフ想いの会社だと感じて、とても働きやすい職場です。
――その他、SHIPの5つの魅力については、現場で働いてみて実際にはどう感じていますか。
徳広
年収は、前職は長く働いてそれなりのキャリアはあったので、ダウンしているのは間違いないですが、福祉としては高い方ではないかと思いますし、納得しています。
また、資格を取ったら給与が上がるなど、頑張ったら評価されるところもいいなと思います。
ライフワークバランスの充実は本当にありがたいです。
前職では、子供が寝ているときに出て、寝ているときに帰ってくる、仕事の日は家族と会えない生活だったのが、今はいっしょに朝ご飯を食べることができますし、お休みもたくさん増えて、プライベートも充実するようになりました。
未経験者でもキャリアップをサポートしてもらえる点もすごく助かっています。
内部研修がすごく豊富で知識を得られます。新人研修も充実していて、最初の一年間は、相談援助の基礎、面談の取り組み方など、基礎的なことが一番ためになりました。
それらの土台にプラスして、自分が担当する利用者様の障害などについての研修を受けていったことが、現場で支援をおこなう上でとても役立ちました。
今年は資格サポート制度の利用や、サービス管理責任者基礎研修の受講もしています。毎年、着実にキャリアアップの準備ができるところが本当にありがたいですね。
職場環境の面は、上司との風通しがとてもいいですし、前職と比べてにはなりますがサポート体制が明確で、たとえば「内部だと相談室に電話してください、外部にも電話カウンセリングがあります」など、新人研修でもアナウンスがあるのはすごくいいことだと思います。
なかなか相談の電話ができない人もいるかもしれませんが、あるだけでも救われる人はいると思います。困ったときにいろんな選択肢がある職場は初めてで、まさしくそこは「職員ファースト」かなと思います。
『ワンランク上の支援者になれる』という点について、私の場合は未経験でゼロからのスタート、吸収することに必死だったのですが、2年半が経って、ようやくその成果を出せるようになってきたと感じています。
「こういう根拠でこういう支援をしています」と関係機関の集まるカンファレンスなどで発表できる、自信を持って言えるようになっているのは実感としてあります。
それは普段のケース会議などで上司から常に「根拠に基づいた支援」という目線で指導してもらい、自分で考える機会があるので、知識と経験が積み上がっているのだと感じますね。
――今後の目標、課題を教えてください。
徳広
今の仕事は、利用者様のチャレンジを応援する側の仕事ですよね。なので、今度は自分自身も何かチャレンジして課題に立ち向かおうと思っています。
今年は介護福祉士の資格を取ることが目標で、休みの日は実務者研修(介護福祉士の受験資格に必要な研修)に通うなどしています。
将来的には、障害特性などの知識をもっと深めて、その上で支援に取り組みたいというのが課題です。
福祉知識ゼロで入っているので、内部研修は一通り受けていますが、資格へのチャレンジも含めて、まだまだ学ぶことは多いと感じています。
3棟の引っ越しや新規対応なども経験して、グループホームの世話人の業務って奥が深いなと感じました。
福祉の制度や仕組みなど、いろいろ知っておかないといけない、まっさらで来た人にちゃんと説明できるようにしたいと思いました。
SHIPは相談支援事業や就労継続支援B型、その他にもいろいろな事業所を経験でき、キャリアアップのサポートもありますが、まずは世話人をもっと極め、資格も取ってから、上に進みたいと思っています。
SHIPの支援方針で感じた「のめりこまないこと」の大切さ
――どんな人と働きたいか、どんな人がSHIPに向いていると思うか教えてください。
徳広
向上心がある人はけっこう向いているんじゃないでしょうか。
チャレンジする人にはすごくいい環境ですし、それだけの研修がそろっています。
私もそこで救われているのですごく良いと思います。
一方、協調性も大事かなと思います。
チームで動くことが多いので、そこがむずかしい人だとなかなか大変かと思います。
事業所内でもそうですし、福祉ってグループホームだったり、生活相談だったり、広くチームで一人の利用者様を支援していくので、コミュニケーション能力は大事ですし、一緒に働く仲間を大切にできる人と働けるとうれしいかなと思います。
――最後に、福祉で長く働くために必要なことは何だと思うか教えてください。
徳広
福祉の仕事について3年弱でえらそうなことは言えないですけれど、大事なのはのめりこまないことじゃないでしょうか。
人と人なので、やっぱりどうしてもやってあげたいという気持ちが出てくることがあり、時間があったら無限にやってしまう人もいると思います。
自分も「利用者様が心配だから残業しようかな」といった感覚に陥ってしまうことはあります。
「でもちがうな」と。
利用者様と、自分自身と、これはどっちの課題なのか、「課題の分離」を念頭に置かないと危ないと気づきました。
「自分を俯瞰してみることもときに大事だな」と、いつも思っています。
徳広さん、ありがとうございました。
福祉の経験はゼロだったからこその体験、お話が聞けました。また、SHIPの職場環境や制度について、すごく助かっているというお話で、本当に働きやすい職場になっているのを実感できました。
着実にキャリアップして、活躍していってほしいと思います!
障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士