【職員インタビュー】「トライ&エラーを繰り返しながら、自分なりのやり方ができる職場」サクレ江戸川・相場さん
グループホーム「サクレ江戸川」 の相場さん、
販売員や事務職、エステティシャンと多彩な経歴をお持ちのスタッフさんです。
その過程と、これからについてお話いただきました。
エステティシャンから高齢者介護職へ
――相場さんは、最初から福祉業界に入られたのでしょうか。
相場
新卒でオフィス家具や文房具を卸している会社に販売員として就職しました。小売店や一般の方々から受注したものをコクヨなどのメーカーさんに発注し、それを仕入れて店舗で販売していました。
そこでの日々は「とにかく忙しい」の一言でした。新卒で入ったこともあり、その仕事が自分に合っているかどうかすら分かっていませんでした。ただ、このまま忙しいだけの毎日を過ごしていても、将来の自分のイメージが湧かなかったので、1~2年程度で辞めることになります。
その頃、月1回マッサージを受けにエステに行っていました。そこでは仕事の話などもしていました。毎日が忙しく、将来像が描けないと相談したところ、「うちで働いてみませんか?」と誘いを受けました。
美容のことは好きだったし、良いキッカケだと思い面接を受けて入社しました。そのエステを運営している会社は、美容学校も経営していたので、働きながらその学校に通い資格の取得を目指しました。
勉強と仕事の両立はとても大変でしたが、体力には自信があったのと、元来の負けず嫌いな性格から、「ここで踏ん張らないといけない!」と思い、日本エステティシャン協会の資格を取ることができました。
相場
エステティシャンとして10年以上を過ごしましたが、とても楽しかったです。何より、感謝してもらえる点が良かったです。施術の結果、お客様がより良い状態になったりすると、その喜びをお客様と分かち合えます。
お客様によっては3~4時間もマッサージするので、自然と密な人間関係になります。そうして築いた関係性から、自信をもらうことが多かったです。
また、当時の仲間とは今でも付き合いがあるくらい職場の人間関係も良好でした。自分自身も美容が好きだったので、仕事を通しての生きる目的と自分の楽しみが一致していたと思います。
ただ、当時すでにエステ業界は飽和していました。以前ほど高級なものではなくなり、どんどん客層が開拓されていました。そうした状況で会社が採った戦略が、介護施設に行ってボランティアで富裕層をターゲットにトライアルでマッサージを行うというものでした。
相場
女の人はいくつになっても美容を意識した方が素敵だと思うので、この戦略はとても良いと思いました。実際、くすみが取れてワントーン明るくなったり、気持ちよくリラクゼーションを受けて表情が明るくなったりしてとても喜んでいただきました。
ご本人だけでなく、そのご家族も一緒になって喜んでくれる、そんなところに大きなやりがいを感じました。
一方、店舗での痩身などの施術は長時間となるため、若くて体力のあるエステティシャンがすることが多く、当時の自分からすると、数年先はマネジメントか、(エステティシャンを育てる)インストラクターか、経営者になるのかと、自分の身の振り方を考えるようになりました。
そこで思い出したのが、介護施設でのボランティアの経験です。それをきっかけに介護福祉の仕事に興味を持つようになりました。
やりたいことと制度の間で葛藤
――そこで入った高齢者介護の世界は、どうだったでしょうか。
相場
最初は、「なんで転職しちゃったんだろう」と思いました。もともと、エステの会社にいたときに介護職員初任者研修(ヘルパー2級)の資格を取っていたのですが、職場の同僚との関係が、以前のエステの会社でのそれと全然違いました。
前職では、同じクラスの仲良しグループで似たような人たちと一緒に仕事をしていたような感覚でした。それが、転職した後は、同僚が美容について興味があるとは限らないんですね。
また、お客様(施設利用者様)に対しても、エステでは10言ったら10伝わっていたのが、高齢者福祉の世界では5も伝わらず、そういった関係性の違いに最初は戸惑いを覚えました。
当初はそういった状態でしたが、5年くらい勤めることができました。最初の1年は訪問介護の仕事をしました。そのうち、上司から認められ、もっと忙しい部署へ異動し実務者研修を受けることになり、学校に通いながら仕事をしていました。
相場
その後、デイサービスを新規に立ち上げることになり、入社の際に伝えていた「高齢者のお客様へのエステをやってみたい」という希望が叶うことになりました。
テスト的にデイサービスの一環としてエステのマッサージが入れられることになり、その担当部署に異動しました。
デイサービスの部署では3年ほど過ごしました。肝心のエステのサービスは、法律の改正などの影響もあり、段々とフェードアウトしていくことになりました。
というのも、「マッサージ付き」というのは売りにはなったのですが、その分の対価を売上としていただく仕組みにはできなかったからです。その分、入浴介助などで売り上げを立てていくのが経営的な観点からは優先される、という会社の方針でした。
自分としても、エステのサービスを利益につなげていくのは難しそうだと感じていたので、「やっぱり、やりたい気持ちだけではどうにもならないものもあるんだな」と、あまりがっかり感はありませんでした。
その後、着付け教室の先生に「もし今、手が空いているんだったら事務がいないから少し手伝って欲しい」と言われ、介護から少し距離を置きたいと考えていたこともあり、着付け教室の事務を3年、同時に父親の工務店の事務も手伝いつつ過ごしていました。
正解のないところに答えを見つけるのがやりがい
――色々な仕事を経験されているのですね。それからSHIPに入社されるのですか。
相場
ちょうどそのころ親しくしていた人が、仕事のストレスで精神的なバランスを崩したんです。仕事に行くと動悸がする。それどころか息切れやめまい、冷や汗なども出ると。ただの不調なのか、それとも本格的な病気なのか分からず、そういった状況を理解できなかったんです。
そんな理解できない自分も苦しくて、もうすこし知識があればまた違う考え方や接し方ができたかもしれないと思ったのがきっかけです。
そこで、ジョブメドレーという医療介護求人・転職サイトに登録しました。障害福祉の仕事に興味があったのですが、未経験だったものでなかなかオファーが少なかったです。そんな中、たまたま出ていたSHIPの求人に応募しました。そして、面接を受けて「サクレ江戸川」で採用となりました。
――今の仕事内容や、大変なこと・やりがいなどを教えてください。
相場
「世話人」という役割の仕事をしています。利用者様の体調管理をしたり、服薬の確認などを記録に残したり、その日の状態をみて支援を考えたり、といったことをしています。
詳細にお話すると、基本的にはひとりでの勤務です。朝来て、決まった時間に全利用者様の部屋を見て回ります。その際、服薬確認や体調のチェックなどをして、その日その利用者様に合った支援のプログラムをつくっています。
例えば、掃除や洗濯の支援をしたり、調理を学びたい人に支援をするなど、その日その利用者様のスケジュールを確認して、利用者様お一人でできないならお手伝いをする、または見守りをする、という感じで支援内容を組み立てています。
相場
私が担当している「サクレ江戸川」2棟の利用者様は、ご自身の力で生活ができる方が多く、その中で一部できないことに対して手助けをするようなイメージです。入浴介助やトイレ介助などまでする必要のない利用者様が多いです。
そんなサクレ江戸川2棟での仕事で大変なことは、複数の支援のタイミングが重なってしまうことです。そんなときは、その日のタイムテーブルを作って混乱しないようにしています。
11時Aさんの調理支援、12時Bさんの調理支援、13時から居室清掃支援、といった具合にタイムマネジメントが必須です。のんびりしている日もあれば、バタバタしている日もあります。忘れないようにカレンダーにやることがギッシリです。
やりがいは、支援の組み立てが絶対にこれじゃないといけないという正解がない中で、いろんなことを考えて、自分なりのやり方で答えにたどり着くのが好きです。トライ&エラーを繰り返しながらも、少しずつでも目標に向かって進んでいることにやりがいと、支援の楽しさを感じています。
――「サクレ江戸川」はどのような利用者様が多いのですか。
相場
統合失調症の利用者様がメインです。生活のリズムを整える課題をお持ちの利用者様が多い印象です。なるべく利用者様の精神状態をフラットにもっていけるよう面談などでサポートしています。
また、陰性症状が強く出た結果、やる気がなくなったり、外に出られなくなってしまっている利用者様に対しては、自然と外に出られるような支援プログラムを組み立てたりしています。
そんな利用者様に、できるだけ快適に毎日の生活が送れるよう、まずは睡眠をしっかり取れるように支援することが大事だと考えています。お薬の飲み忘れがないように確認したり、日中の活動場所に行けなくても何かしら動いていただくために、毎朝いっしょに散歩に出かけたりもしています。
人生経験がものを言う!
――そんな相場さん、今後はどんな目標を持っているのでしょうか。
相場
未経験で入社してやっと1年が経ちました。入社したときから、サービス管理責任者になりたいと思っています。
そのために勉強をしています!
――職場の雰囲気はどうですか。
相場
基本的にはひとり職場なのですが、他のスタッフさんとの情報共有はしっかりできる環境です。また、サービス管理責任者の長澤さんが私のいるユニットに朝はいてくれるので相談もしやすいです。
他のユニットの世話人の人たちとも電話などで相談できますし、横のつながりでも支障を感じていません。
また、パートタイムで来ていただいている生活支援員の方が人間的に素晴らしくて、1週間に1回会うかどうかの頻度なのですが、とても頼りになっています。
相場
その他のスタッフさんも人間力のある人たちなので、私がこういうことで困っているだろうと、先に察して手を差し伸べてくれます。恵まれている環境だと思います。
SHIPには比較的多様な人生経験を経てきている人が多いので、苦労や痛みなどが分かっている人たちが集まっている気がします。その結果、人を大切にしようという気持ちが見えるし、分かるような気がします。
――最後に、SHIPに向いている人、一緒に働きたい人についてどうお考えですか。
相場
色々人生経験を積んでいる人ですね。利用者様は繊細な方が多いんですが、そこに対しての優しさとか思いやりなどがある人。言葉の選び方一つで利用者様との関係性は崩れてしまいがちなので、言葉を大事にする人が向いていて、かつ一緒に働きたい人ですね。
ありがとうございました!
ご自身も多様な人生経験を積んでいる相場さん、
目標のサービス管理責任者を目指して、これからも頑張ってください!
フリーランス/リワークトレーナー/タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」原作者