【職員インタビュー】「安心して楽しく働ける『チーム・エスプリ』を目指して」エスプリ・前川さん
就労継続支援B型「エスプリ」 の前川さん
公認心理師と介護福祉士をお持ちのスタッフさんです。
障害者グループホームで10年以上経験を積み、このたび新任のサービス管理責任者になりました。
その過程と、これからについてお話いただきました。
「職員が安心して楽しく働けるエスプリ」を目指して
――さっそくですが、新任のサービス管理責任者として、今の気持ちをお聞かせください!
前川
「エスプリ」はパンを作っている就労継続支援B型の事業所ですが、前任のサービス管理責任者が築き上げた「チーム・エスプリ」としての抜群のチーム力をまずは落とさないように頑張っていきたいと考えています。
エスプリの運営は、とにかく考えることが多いんです。
事業所として利用者様がより快適に通所できるようにしながら、一方でパン屋として売上を上げることにも気を配らないといけません。
また、おかげさまでたくさんの利用者様がいらっしゃるので、当然 私ひとりではカバーすることは難しいです。常勤・非常勤のすべての職員の皆さんと一丸となって日々の活動をおこなっています。
チームの雰囲気として、たとえば、利用者様の中で体調が悪そうな方がいれば、指示を受けることなく自ら進んでカバーしてくれます。
利用者様のモチベーションの課題に対して提案してくれたり、パンの売上をもっと増やすための「販路はここからやるといいですよ!」と教えてくれたりします。
またあるときは、工賃維持に向けて検討していると、お客様に無料で提供していたパンの紙袋を「有料化してはどうか。リピーターは離れませんよ」と助言してくれたこともありました。
職員の皆さんはとても主体的で、みんなでエスプリを良くしようという意識がとても高い職場だと感じています。
――そういった意識づくりために大切にしていることは何ですか?
前川
おそらく、「言いやすい雰囲気」があるからだと思います。
発言しても否定されない雰囲気とも言えます。また、言ってくれたことに対してはすぐ動くように意識はしているつもりです。
なので、自分の意見が反映されるという実感は常にあるんじゃないかと思います。よくある、言い出しっぺが全部責任を取らされるような感じではありません。
それはもう完全にエスプリの文化、風土になっています。
そのために私が個人的に大事だなと思っていることは、とにかくコミュニケーションを取ることです。休憩時間にちょっと一緒になって話を聞いたりしています。雑談がメインですが、そこでの時間は非常に大切だと感じています。
――今後は、サービス管理責任者としてエスプリをどんな事業所にしていきたいですか?
前川
抽象的かもしれませんが、利用者様が安心できる居場所にしたいと考えています。
利用者様一人ひとりの得意をのばし、仕事へのやりがいを持って働けるような場にしていきたいです。
そのためには、「こういうパンを作りたいです!」といった要望があったら、「では職員と一緒に考えてみましょう!」とすぐにリアクションして、利用者様の得意を生かせる事業所にしていきたいと考えています。
同時に、利用者様に対する支援の質を上げることも大事だと考えています。
職員の皆さんが、「こういうとき、どう支援したら良いか分からない」という状態のまま支援に携わるのはできるだけ避けたいと考えています。
質の向上に向けては、月1回 全員参加型の事業所内研修を開いています。
実際に提供する支援の方向性をみんなで検討する場です。
先日は、「職員によって利用者様への対応について言うことが違う」というテーマを採り上げ、対応方法を共有することができました。
また、いま働いている職員の皆さんが長く働けるように、惰性で支援することがないようにも気を付けています。
――職員さんの働き方には、常勤と非常勤の2種類あるそうですね。
前川
はい、育児などの理由で時短勤務をする非常勤職員がいらっしゃいます。
常勤職員は一日8時間、非常勤職員は4時間から7.5時間ほどのシフトです。
ひと言で言うと、常勤職員はパン業務に加えてデスクワーク多め、非常勤職員はそれ以外というカタチになっています。
非常勤職員の役割は、送迎業務やパンづくり・販売、畑の手入れなど、オールマイティーに活躍されています。
常勤職員は、パンづくりと利用者様の支援が中心です。その他にPC作業や発注業務もあります。
利用者様の支援に関しては、チーム支援の体制がとれるよう常勤を中心としつつも、非常勤が補助に付くようなイメージです。
――新任のサービス管理責任者として、今後に向けての目標などはありますか?
前川
チームエスプリとして、「職員が安心して楽しく働けるエスプリ」というスローガンを作っています。
職員の皆さんが仮に体調不良などで休んだときでも、スローガンを念頭に乗り切るようにしています。
「胆力や忍耐力」がとても鍛えられました
――SHIPに入社する前はどんな仕事をされてきているのですか?
前川
新卒で板橋区にあるグループホームで知的障害の方々の支援をしていました。
利用者様が4名ほどの小規模なグループホームでした。
地域との接点も多く、お祭りやイベントなど年に3~4回程度、パウンドケーキを作って販売したりしていました。
グループホームを運営している法人の理事長から横のつながりが大事だと言われ、区の連絡会の幹事をしたり、東京都の社会福祉協議会の知的発達障害部会にも行っていました。
最初は面倒だったのですが、出会う法人には色々なカラーがありました。外部の研修にも参加したことで得る気づきは多く、培ってきたつながりは大事だなぁと思うようになりました。
私が以前所属していた法人の理事長は、とにかく利用者様へのサービス意識が高い、仕事に厳しい方でした。
宿直後の日中に職場で仮眠を取っていると「職場でなに寝ているんだ(怒)」と注意されたり、職員会議では、支援に関して毎回1時間の熱い話しをしてくれる人でした。
そのあとで「君たちはそういう仕事ができていない。できるためにどうしたらいいか考えなさい」とご指導いただいていました。
9年間このグループホームで仕事をしていたので、胆力や忍耐力がとても鍛えられました。
その後、SHIPに入社しました。
――SHIPに入社するキッカケは何でしたか?
前川
ひと言でいうと、「仕事と家庭の両立」です。
前職は、そんな感じの職場だったので仕事と家庭との両立はかなり難しく、2人の子供の世話は妻に任せっきり。家族でお出かけすることもありませんでした。
SHIPは年間休日がとても多いところに魅かれました。
また、前職は支援者が少ないグループホームの勤務だったため自分一人での支援が多く、「これでいいのか」の答え合わせがしづらい環境でした。
SHIPは「根拠ある支援」「専門職として働く」ことを目指していたので、安心して自信を持って支援をすることができると感じました。
実は、同じタイミングで別のところも内定をいただいていたのですが、そこは都心の方でした。
ちょうどそのころ東京の多摩地域に引っ越すことになっていて、不動産屋さんに通勤について相談したところ、「多摩地域から都心に向かう電車は乗車率120%ですよ」と言われ、都心への通勤は避けたいと思い、SHIPに入社することに決めました。
パン屋とB型事業所を管理する「大変さ・やりがい」
――SHIPに入社して、現在はどんな仕事をされているのでしょうか。
前川
利用者様ごとに支援内容を決めることと、職員のマネジメントです。
また、パン屋さんとしての側面ではパンの売上を上げることも大事な仕事ですし、就労継続支援B型としての側面ではパンの作り手である利用者様の通所率の維持・向上もしなければなりません。
いずれも、すぐに結果が出るものではないので、いつも頭を抱えてウンウンうなっています。
でも、そんなときでも職員の皆さんから意見をもらえるのでとても助かっています。そういった経験から、自分独りで悩むのではなく、みんなで考えられるような雰囲気づくりをする方向でマネジメントをしています。
このように業務内容は多岐に渡るので、今はパン作りなどの実務からは基本的に離れていますが、時々ヘルプで入ったりします。
ヘルプの際、少し距離を置いたからこそ見えてくることもあります。
たとえば、「ここ延長コード必要だな」とか、「ここの業務ってあらためてやると大変だな」とか、実務ならではの気づきです。
それがあると、職員の皆さんとの会話の中で「ここ大変なんですよね」といった話しがあったとき、イメージしやすく解決策につながりやすくなるので、現場に入ることもまた勉強になっていいと感じています。
――お仕事をされていて、大変なこととやりがいを教えて下さい。
前川
大変なことは、とにかく時間に追われることですね。
SHIPに入社してすぐはグループホーム「ラファミド八王子」で仕事をしていました。
「ラファミド八王子」では、比較的自分で仕事のペースを作ることができていました。しかし「エスプリ」に来たら、そういった時間的な余裕がないんです・・・
とにかく一日の流れが早いんです。
朝の7時半から9時はパンを焼いてお店に出さなければいけません。
また、市内の病院にもパンを届けているのでその分も焼いてお届けする必要があります。
その後、9時から11時半までは利用者様がいらっしゃってパンを作ります。
お昼を挟んで午後は、午前中に作ったパンを焼いて、袋詰めして、別の福祉施設向けに配送しています。
時間で区切ってやることが多く、気が付いたら夕方という日も少なくありません。
そういった作業管理とマネジメントの両方をやるのは大変なのですが、現場の責任者として主任の職員さんが活躍しててくれているので、とても助かっています。
やりがいは、利用者様から新しいパンの提案を受けて開発をしたり、利用者様の得意を生かしたやりたい作業が見つかったりしたときにとても感じます。
そんなときはいつでも、一緒にやっていて良かったと思います。
また、パンの売上目標を達成したときも嬉しいです。
最近ですと『曜日別フェア』を考えて実際に開催して結果が出て、とてもやりがいを感じました。
「エスプリ」の特色
――ところで、「エスプリ」はどんな利用者様が多いのでしょうか。
前川
主に精神障害をお持ちの方が多く、登録者の8割程度いらっしゃいます。
統合失調症をお持ちの方がもっとも多く、次に双極性障害、発達障害(ASD・ADHD)をお持ちの方の順です。
残りの2割は知的障害をお持ちの方です。
男女比としては、8~9割が男性です。
年齢層は40~50代が中心ですが、70歳以上の方もいらっしゃいます。
10年近くエスプリで働いている方もいらっしゃいます。
――力を入れているサービスはなんですか。
前川
曜日別フェアに力を入れています。
月曜日)ドリンクサービスDay
火曜日)ビザDay
水曜日)スイーツDay
木曜日)惣菜Day
金曜日)フライDay
土曜日)ミニパンDay
となっています。
また、パン作りが苦手な方のために畑作業もおこなっています。
かぼちゃ、たまねぎ、みょうが、じゃがいも、にんじんなど、色々な野菜を作っています。
作った野菜をパンに入れたり、またかぼちゃを使ったパウンドケーキを開発しています。質が良く格安で販売していることから、実はとても人気なんです。
これからの目標、SHIPの魅力、一緒に働きたいひと
――前川さんの今後の目標を教えてください。
前川
サービス管理責任者は、「この対応はどうしたら良いでしょうか?」と相談され、決断をする機会が多い役割です。
実は、ひと呼吸置かせてもらうなど、まだ決断に迷うときはあります。
マネジメントスキルも含めて、リーダーシップの力(ちから)を上げていきたいと考えています。
ただ、リーダーシップのみに固執して、一人で突っ走って、すべてを一人で抱えてしまうのは避けたいと思っています。
みんなで共有して相談、そして決断・判断は自分がする。
そういったカタチで、チーム・エスプリの力をより強固なものにしていきたいです。
――働いていて、どんなところにSHIPの魅力を感じますか。
前川
目指す役職になるためのキャリアパスに関する制度がしっかり整っている点が魅力です。
また、役職のみならず純粋にスキルや専門性を磨くための内部研修が充実していて良いなと思っています。
――最後に、SHIPに向いている人、一緒に働きたい人を教えてください。
前川
特にエスプリは、色々な職員がいてそれぞれの強みを生かして役割を担うことで、全体的にチームとして成り立っています。
個人ですべてできる必要はありません。
むしろ、そんなチームの一員として働きたいという熱意があれば良いと思います。
また、「うまくいかなかったからダメだ」と落ち込むことなく、気持ちの切り替えがポジティブにできる人は、一緒に働いていて楽しいと感じますね。
ありがとうございます!
「チーム・エスプリ」を繰り返し口にしていた前川さん、
チームを前進させるべく、これからも頑張ってください!
フリーランス/リワークトレーナー/タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」原作者