【職員インタビュー】「どこに行っても使えるスキルが身につく仕事」サクレ江戸川・櫻井さん

グループホーム「サクレ江戸川」の67棟で世話人として働いている櫻井さんにお話しをうかがいました。

障害福祉の仕事は未経験、間もなく入社して1年が経過するスタッフさんです。

この業界に入ったことで得られた色々な気づきや成長の過程を話していただきました。

 

定時制のときに感じた「若さゆえの葛藤」

-簡単な自己紹介をお願いします。

 

櫻井

長崎出身、30歳の櫻井です。

2022年12月、社会福祉法人SHIPに入社して、サクレ江戸川(67棟)に勤務しています。

趣味は1歳になる息子と遊ぶことです。カラオケや筋トレも大好きです。

 

 

-櫻井さんの今までの経歴を教えていただけますか?

 

櫻井

長崎県で夜間の定時制高校(4年制)を卒業後、愛知県にて自動車メーカーの工場勤務、上京後にはIT業界・飲食業界・フィットネス業界など、色々な仕事に就いてきました。

 

フィットネス業界ではいわゆるトレーナーの仕事をしていたのですが、気難しいお客様(おじさん)とのやり取りが印象に残っています。

その方は「ガシャーン!」と大きな音を立てて器材を扱うため、「危ないですよ」「まわりにお客様もいますので」と注意しました。

すると「なんだてめぇ、俺の方が長く居るんだぞ!」と怒鳴られ、関係が悪化してしまったのを覚えています。

一方、同僚のスタッフが同じように注意をしている場面では、そのおじさん、なぜか「ごめんね~(笑)」と穏やかに受け入れているのです。

 

この違いは何なんだろう・・・

考えながら眺めていると、その二人はトレーニングとはまったく関係のない世間話ばかりしていました。

 

数日おいたある日のこと、たまたまなのですが、そのお客様(おじさん)の着ていたTシャツが格好よかったので「いいTシャツですね~」とお声かけしました。

するとおじさん、今までにない笑顔を見せてくれたのです。

何の気なしに「褒める」という行為をして、意外にもその効果を感じられた瞬間でした。

それまでトレーナーの役割は「トレーニングの質を高めること!」と考えていたので、相手の立場から物事を見ることができていませんでした。

 

その後の2.3回目は意図的に、そのおじさんの良かった筋トレのフォームを伝えてみたり、大きな音を立てても「頑張ってますね!」と伝えてみたりしました。

すると今度はおじさんの方から話しかけてくれるようになりました。

遅ればせながらこのとき初めて、人との関係を築くこと、その関係性がベースとなって人に注意を受け取ってもらえること、そういったコミュニケーションの大切な部分を学ぶことができました。

 

 

 

-ところで、定時制高校のことをあまり知らないのですが、学校の様子やそこでの経験なども教えてもらえますか?

 

櫻井

定時制高校の生徒たちは、基本的に日中はバイトをしながら学校に通っています。

そのため比較的若い段階で社会や仕事に触れることになります。

まだ右も左も分からないような状態で礼儀や接遇などの社会的スキルを求められるため、同年代の人たちよりも早くそういった悩みを抱えている人が多いと思います。

また、早熟なのに経験だけは積み上がるため、早めに教える側のポジションも任されることになります。

自分より年上の人に教える機会が発生しますが、なかなかうまい言葉で説明ができなかったりするので、けげんな顔をされることもあり、当時は本当に葛藤することが多かったです。

 

当時の自分はものすごく人見知りだったこともあり、積極的に人と話すようなタイプではなく、グループの輪の中にただいるだけのような、いわゆるコミュ障でした・・・

そんな性格も相まって、仕事や生活での悩みを共有したり相談するような相手もおらず、悶々と生活していたことを覚えています。

 

 

 

障害福祉の仕事で「自分の成長」を実感中

-いまの櫻井さんからは想像がつきませんね。

-本当に色々な経験をされてきておりますが、障害福祉の業界に入ってきて戸惑いはありませんでしたか?

 

櫻井

戸惑うこともありましたが、なにより自分と似ている利用者様が多いことに驚きました。

たとえば面談の際にはよく「なんて言ったらいいか分からないんです・・・」と不安になられて相談にくる方がいらっしゃいます。

その不安の感覚は、昔から私にもず~っとあった感覚です。

 

今までは何も言わずに我慢してやりすごしてきた感覚ですが、それをそのまま伝えてこられる利用者様に刺激を受けて、私も「分からない」ということを隠さずに伝えられるようになりました。

思い返すと、昔はそれを言ったら怒られる環境で育ってきましたし、人見知りで意見を発信するのが苦手だったので、意見を押し殺してきたのだと思います。

 

分からないことを「分からない」と率直に言えるようになったことは、自分にとっての大きな成長だと感じています。

 

 

 

-利用者様から学ぶことは本当に多いですよね。

-他にもご自身の成長につながったエピソードはありますか?

 

櫻井

わたしは物事を「善か悪か」で決めてきた完璧主義の人間なのですが、同じようにルールの遵守を貫き通す正義感の強い利用者様がいらっしゃいます。

その方が抱えているお悩みが、私が感じているコミュニケーションの悩みと似通っていて本当に驚きました。

 

その方は、ルールを守らない他の利用者様に対して厳しく注意叱責をします。

率先してルールを守っているので言う権利がありますし、それが正義ですし、まったく間違っていません。

でも、怖がられていて、人が近づいてこずに、何となく上手くいっていないことに気づいていらっしゃいます・・・

 

そんなお悩みや苦しさにメチャクチャ共感しながら聴かせてもらうのですが、一方で、支援者としては、ルールを守りたいのに破ってしまう相手側の事情もお伝えします。

そして、正義感で裁く以外にも、優しく見守ったり、お手伝いをするような、別の視点が持てるようにアドバイスをさせていただきます。

 

そのアドバイスをしながら過去の自分を反省し、わたし自身が別の視点をもてるようになってきているのが不思議な現象です。

人それぞれに生きづらさがあることを、『利用者様への支援を通して、私が一番学んでいる』という感覚です。

 

そんなこともあり、最近では「まぁ、しょうがない」と思える瞬間が増えてきて、完璧主義が和らいでいる自分に成長を感じたりもしています。

 

 

 

「相手を知らなきゃ始まらない」

-ところで、いまサクレ江戸川ではどのような仕事をされているのでしょうか? また、仕事で難しさを感じているところはありますか?

 

櫻井

グループホームの世話人として、主に利用者様の生活面の自立支援をしています。

生活のご様子をよく観て『できること・できないこと』を見極めて、「できること」はご自身の生活に活かしていただき、「できないこと」はどうカバーしていくのかを一緒に考えています。

そういったサポートを通じて、利用者様の社会復帰や一人暮らしなど、それぞれの目標に向けて一緒に取り組んでいるところです。

 

入社当初より支援と虐待の線引きはとても難しいと感じています。

それは1年経ったいまでも迷う部分です。

 

ただ、繰り返しになりますが『できること・できないこと』の見極めは大切で、「できないこと」を無理やりさせるのは当然アウトですし、逆に「できること」をお節介で奪うこともアウトです。

結論としては、その人のことをちゃんと知らないことには支援は始められませんし、上手くいくこともない、ということだと感じています。

 

 

 

-支援の仕事の「やりがい」は、どんなところにあると思いますか?

 

櫻井

利用者様のできることが増えていくことがやりがいです!

ゴミ捨てや洗い物など日常の小さな課題でも、どうしたらできるようになるかをとことん一緒に考えます。

一緒に悩みながら少しずつでも変化が見えた時にとてもやりがいを感じます。

 

たとえば、わたしが担当しているASD(自閉症スペクトラム障害)のある利用者様は、ご自身のペースを崩さずに生活されています。

でも、そのペースで朝の身支度をすると活動先に間に合わなくなり、どうしても遅刻してしまうことが課題です・・・

 

 

櫻井

そこでまずはその方を知るために、ゆっくりお話しさせていただく時間を取りました。

起きてから何をされているのか、何にどれくらいの時間がかかってしまうのか、どのくらいの時間があればできそうか、どんなことにチャレンジしていきたいかなど、本音でたくさん話していただきました。

お話しをすることで、ご自身の中でも困っていることが顕在化していき、目標を持つこともできはじめて、ようやく支援の土台に乗ってもらえたことが印象に残っています。

結果、少しずつではありますが、朝のルーティンがスムーズになって遅刻が減っていきました。

 

このような成長のプロセスは、わたしの趣味である筋トレと同じような、重量が少しずつ増えていくような、そういった達成感に近い感覚が得られます。

あくまで相手(利用者様)の課題なのですが、自分も一緒に悩んで、一緒に考えて、一緒に進んでいるので、達成したときの喜びも自分事のように感じられるのだと思います。

 

 

 

はじめて学ぶ「リーダーシップ論」

-現在、力を入れて取り組んでいることはありますか?

 

櫻井

支援の仕事だけでなく、支援者同士や外部の関係者なども含め、まわりの人たちとのコミュニケーションの取り方について学んでいるところです。

一人での支援にはどうしても限界があるので、チームとして円滑に支援をおこなうための方向性の共有に力を注いでいます。

また、自分の意見をどう伝え、それがまわりの人たちにどう受け取られたか、というところまでを意識してコミュニケーションを取るようにしています。

 

実は、学生の頃にキャプテンを務めたり、職場でも責任者として教える機会はあったのですが、キャプテンやリーダーってそもそも何する人なのか、どうすれば上手くいくのか、悩むことが多かったです。

 

現在、今後のキャリアアップに向けて、SHIPのリーダーシップ研修を受けています。

会社で提供されるリーダーシップ論の講義を受講したときに

 

「リーダーは、リーダーを演出することが大切」

「方向性を示すのがリーダーの仕事で、ルールを守らせるのはマネジメントの仕事」

 

といった話を聞いて、「あぁ、なるほど、そういうことだったのか!」と気づきがありました。

 

わたしは厳しさを前面に出してチームを引っ張っていくことがリーダーシップだと勘違いしていたようです。

やる気のある人だけついて来ればいい、そういった厳しさや統率力が大事だと本気で考えていましたが、ある日、可愛がっていた後輩から「みんなから怖がられてますよ」と言われてビックリしたことを思い出しました。

てっきり自分のリーダーシップで、みんながついてきてくれていると思っていたので・・・

 

今の自分は、「みんなが安心して相談できるリーダー」を目指しています。

昔とは正反対の目標を掲げています。

そしてこの目標を立てながら、安心される存在とはどんなものかを考えました。

 

たとえ悩みを解決はできなくても、一緒に支え合っていける存在、一緒に成長できる存在、この人に聞いてみたいと思われる存在、そしていつでも聞ける距離にいるなど、怖がられているとできないことばかりでした・・・

すぐにそういった存在になれないかもしれませんが、そういった振る舞いや演出を続けることで、いずれは目標に近付ける気がしています。

 

 

 

安心してチャレンジできる職場

-サクレ江戸川の職場の雰囲気を教えてもらえますか?

 

櫻井

職場の皆さんはとても明るくて協力的で、失敗を恐れず挑戦しやすい環境だと思います。

自分では解決できない問題でもチームとして話し合いながら問題解決へ向かうことができています。

一人で悩み続けることがない分、余裕をもって支援に取り組むことができています。

 

SHIPには「職員への期待」というものがあって

・変化を恐れず挑戦する姿勢

・困難こそ成長のチャンスととらえるポジティブな姿勢

といった働く姿勢が求められています。

 

ですから直属の上司からも、

「仮に失敗してもそれを一つの経験としてとらえよう」

「次を一緒に考えよう」と声をかけてもらえます。

そういったところがチャレンジしやすい職場環境につながっていると思います。

 

 

 

-では最後に、櫻井さんのように未経験から障害福祉で働くことを考えている人たちへメッセージをお願いします。

 

櫻井

わたしは定時制高校の出身なので、同じ境遇にいる生徒さんたちにお伝えしたいと思います。

学校・勉強・部活だけではなく、若くして社会や仕事に触れる環境に身を置かれていることと思います。

そのような状況の中、学校や仕事での人間関係に悩んでいたり、将来に対する漠然とした不安や諦めを感じているのではないでしょうか。

 

私の経験をお伝えすると、様々な業界で仕事をしてきましたが、いまの障害福祉での経験は今後どんな業界に行っても自分を支えてくれるモノだと実感しています。

 

「もっと若いうちにこの経験をしたかった・・・」

 

この後悔を皆さんにお伝えしたいと思いましたし、もし少しでも興味を持ってもらえたら、早めにこの業界に飛び込んできてほしいと思っています。

もしよかったら、SHIPで一緒に成長を実感していくパートナーになりましょう!

 

 

 


 

たくさんの経歴の中からも障害福祉の魅力を語っていただきありがとうございました!

櫻井さんのように利用者様に「共感」できる部分の多い方、そしてそれが「やりがい」につながっていく方、そんな人たちがこの業界に入ってくることを心待ちにしています。

 

なお、櫻井さんは定時制高校の生徒さんたちのOB訪問を受け付けてくださるとのことです。

興味のある人は、ぜひ、サクレ江戸川(67棟)の櫻井さん宛にお気軽に連絡してみてください。