【職員インタビュー】「いい意味の『緩さ』の中で、自律する大切さを伝えたい」EXP立川(就労移行支援)三浦さん

就労移行支援事業所「EXP立川」 の三浦さん

前職から就労にむけて頑張る利用者様を支援する経験を積んでこられました。

その過程と、これからについてお話いただきました。

 

「パソコンの修理からパン作りへ」

――三浦さんは、新卒ではどんな会社に入ったんですか?

 

三浦

大学では情報処理を学んでいたことも少し影響して、卒業後は知り合いの紹介で、各地の大学生協で販売するパソコンの保険としての修理サービスを提供する会社に入社しました。

壊れた学生さんのノートパソコンを生協の経由で受け取り、修理してまた学生さんに返すという仕事をしていました。

 

その仕事自体は楽しかったです。ただ、どんどんパソコンが低価格化していって、事業は先細りだなと感じていました。

そういったことを考えている時期に、福祉で働いていた親から社会福祉士の取得を進められたこともあり、仕事をしながら夜間の専門学校に通って資格を取りました

 

社会福祉士の勉強をしていたときに、パソコンの修理と似たところがあると感じました。

パソコンにも個性があるんです。

持ち主の扱いがズボラであれば状態も悪いですし、デスクトップ画面のアイコンの配置も使用している人の個性が出ます。

 

また、量産品であるパソコンにも個体差があります。

パソコンの中身をネジでとめてカバーをはめるだけでも、ガバガバなモノと、きっちりはまるモノもあったりします。

さらに、パソコンの不具合がどんな箇所の故障からきているのか、その原因の部分だけを直す必要があり、関係のない箇所に手を加えるとクレームがきたりします。

 

そもそも有償修理の場合は余計な修理はそれだけ代金がかかってしまうことになるので、どこまで直したらいいかいいのだろうか、ここはパソコンの個性として残しておこうとか、社会福祉士の勉強で学んだものと共通する考え方があるなと思いました。

 

福祉の世界でいう「アセスメント(利用者様の生活環境や困りごとを把握・情報収集し分析すること)」を、まさにパソコンに対してやっていたんだなと思います。

 

 

 

――その後に福祉業界へ転職されたのでしょうか。

 

三浦

3年ほどパソコン修理の会社で働いた後、大学で専攻していた情報処理と取得した社会福祉士の資格を生かし、介護関係の現場のシステムを作りたいと考え、介護の会社に転職しました。

まずは介護士としてケアハウス(家族との同居が困難な高齢者が、比較的安価に入居できる介護施設)で働き始めました。

 

介護の仕事は面白く感じました。

お子さんが4人いる女性の利用者様が、ことあるごとに「私の主人は結婚して2~3年ですぐに亡くなった」とおっしゃっていたのですが、お子さんを見る限りご主人はもっと長く生きていたはずなんです。

しかも、別のときにはちゃんとご主人の話をしてくれたり、伺うたびに違う話をしてくれるので飽きなかったです。

 

次に、就労継続支援B型事業所へ転職しました。

パンやクッキーなどを作ったり、チラシ折りやその他の仕事をしていました。

 

パソコンの修理をやっていたせいか手先は器用でしたので、パン作りに関して、粉から生地を作って、生地を均等のグラムに分けて、成型して発酵させて具材トッピングして焼くというひととおりの作業を全部できるようになりました。

ほどなく、パンの部門を任されるようになりました。

 

パン部門では、どの利用者様がどの作業をするかがほぼ決まっていました。

花形であるパンの成型作業に関しては、在籍年数が長い利用者様がほぼ独占しており、在籍年数の短い利用者様はそれ以外の洗い物や生地の分割などの作業をしていました。

歴の長い利用者様が遅刻してきたとしても、当然のようにパンの成型に入ります。

いわゆる年功序列でした・・・

 

 

そこに疑問を感じたので、毎日通所されてやる気のある利用者様に率先してパン成型の機会を持ってもらい、適性があればその利用者様に成型作業を率先してお願いするようにしました。

歴の長い利用者様であっても、遅れてきたら他の仕事をお願いすることになります。

 

その結果、通所1年足らずの利用者様が成型作業の仕切りをするようになり、うまく回るようになりました。

人が嫌がるような仕事を率先して引き受けた利用者様には、その分だけご自分の希望する仕事ができるようにしました。

例えば、10分皿洗いしたらその後は成型作業をしてもいい、といった具合です。

 

利用者様の持ち場をオンタイムでちょっとずつ変えていくやり方になるので、以前よりもマネジメントが大変になりましたが、その大変さは自分が引き受けるから、利用者様にできるだけやりがいや楽しさを感じられる仕事環境を提供したかったのです。

その結果、利用者様が各持ち場で率先して行動していただけるようになりました。

 

また、以前は職員しかやれないカスタードクリームを作るという作業があったのですが、それも適性があれば利用者様にしていただくように変えました。

実際、プロのパン職人だった利用者様にお願いしたら当然ながら職員より上手かったんですね。


業務の聖域をなくし、効率化、平準化する。

自分なりに考えて、事業所のパン部門の生産性を高め、利用者様の居心地を良くすることができました。

 

 

 

ワークライフバランス、そして「稼ぐ」意識

――それから、SHIPに入社されるのですね。

 

三浦

私は常々、福祉業界にある「過剰な自己犠牲」に対して違和感を抱いていました。

社会のため、利用者様のためなら、自分の生活が犠牲になってもいいという考えです。自分も知らずこの「自己犠牲」を強いられてしまっていました。当時働いていたパン部門の売上の多くが土日に開催されるバザーでのものでした。

秋から冬にかけては毎週土日は出勤し、週あたりのお休みは1日程度でした。その点、SHIPはワークライフバランスを謳っており、興味を持ちました。

 

また、介護と違って就労支援は「これからの可能性がある」点に魅力を感じます。

就労移行支援事業所は特にこれから就職して社会に出る利用者様のサポートをするので、その伸びしろをより感じることができそうだと思い、SHIPの運営する就労移行支援事業所「EXP立川」の求人に強く惹かれたのです。

 

また、そもそも障害を持つ方々が労働人口に加われば、国全体の規模感で考えると国の財源的にも豊かになり、巡り巡って自分を助けてくれるという考えもありました。

 

さらに、研修制度の充実、社会福祉法人としての歴史というのもまた安心材料でした。

社会福祉法人は、株式会社に比べて収益を重要視していないという傾向が一般的にあるかと思います。

しかし、SHIPはちゃんと収益を得て、事業を展開しています。社会貢献さえしていれば、多少自己犠牲があってもしょうがないという考え方はしていません。

 

そもそも、自分で稼ぐ大事さを利用者様にも伝えたいと思っているので、この点は自分の中では大事に考えています。

ワークライフバランスと収益に真っ向から取り組むSHIPは、そんな私にはうってつけだったと思っています。

 

 

 

仕事の大変さとやりがい

――現在のお仕事と、その大変さややりがいを教えてください。

 

三浦

就労移行支援事業所「EXP立川」で、職員として働いています。

一人ひとりに合ったワークスタイルを実現するために、自らを知る機会と経験を創造する」という理念のもと、就職を目指す利用者様へ支援を行なっています。

 

大変なことは、利用期限(2年間)があることです。

その期限内に体調を整えて就職までもっていくのは、簡単なことではありません。

以前の就労継続支援の職場では利用期限はなかったので、本当にスモールステップでやっていくことができました。

もちろん焦りは禁物ですが、かといって悠長に構えていたらあっという間に期限がきてしまいます。

 

逆に、利用者様の向上心があるところにやりがいを感じます。

できなかったことができるようになるので、伸びしろを日に日に感じます。

SHIPは研修がしっかりしているので、「なぜこの支援をするのか」という根拠を意識しながら、自信を持って仕事をすることができています。

 

それと、SHIPで推奨されている「動機づけ面接法」が私にはとても印象的です。

以前は、面談で自分から利用者様へ対して「こうしましょう」「ああしましょう」と道筋をこちらが立てていました。

動機づけ面接法をやるようになってからは、利用者様から出てくるもので構築していくことの大切さを実感するようになりました。

今までの癖で、結論を先にこちらから出しそうになりますが、利用者様の気持ちをうまく引き出すことができたときは嬉しいですね。

 

EXP立川では特に面談に力を入れています。

以前の事業所では30分、忙しいときは10分というときもありました。

EXP立川では1時間が基本です。多ければ2時間くらい平気でやります。

利用者様と向き合う時間を大切にしている点、良いなと思っています。

 

 

 

EXP立川の魅力、それは「緩さ」

――三浦さんの今後の目標を教えてください。

 

三浦

個人としての今後の目標は、担当している利用者様が就職することです。

入社してから間もないので、まずはそれが目標になるかなと思っています。

今 担当している利用者様の就労に向けて、ご本人も一生懸命頑張っています。

それに応えるべく、私も頑張っていきたいと考えています。

 

 

 

――職場の雰囲気についてはどう感じていますか。

 

三浦

いい意味での緩さEXP立川の魅力であると感じています。

それが居心地の良さにつながり、EXP立川のすべての土台になっていると思います。

 

緩いから適当でいいかというとまったくそうではありません。

むしろ、緩いからこそ厳しいとも言えます。

「こうしなさい」「ああしなさい」と言われずに、しっかり自分の生活を律していくのは、利用者様にとっては大変なことです。

しかし、それができないと就労してから苦労します。

そういう意味では、緩さの裏側には、暖かな厳しさがあると言えると思います。

 

 

 

 

――最後に、一緒に働きたい人、向いている人を教えてください。

 

三浦

「自分の思った通りにしたい」という人は向いていないかもしれません。

一方、一緒に働きたいなぁ と思える人は、EXP立川の「緩さ」を許容できる人です。

 

 


 

ありがとうございます!

就労移行支援事業所のスタッフとしてキャリアを積み始めた三浦さん、

これからも頑張ってください!