【パート職員インタビュー】「不要なこだわりを避ける ”引き算” の支援」生活介護「笑プラス」折笠さん

生活介護「笑(えみ)プラス」のオープニングから、生活支援員(非常勤パート職)として活躍されている折笠さんにお話しをうかがいました。

福祉の仕事と家庭(子育て)との両立を図りながら、少しずつ勤務時間を伸ばして来られました。

他の障害福祉の仕事も経験されているスタッフさんなので、色々なお話しを伺うことができました。

ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。

(※生活介護とは、障害支援区分3以上の方を対象として、主に昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護や、日常生活上の支援、生産活動の機会等を提供する障害福祉サービスです。)

 

「お手上げ」から始まった新たな福祉の道

--まずはじめに、福祉の仕事に興味をもったキッカケを教えてください。

 

折笠

自宅の近所にある就労継続支援B型で働いたことがキッカケで障害福祉の世界に入りました。

そこでは主に、軽度から中度の知的障害のある方の作業支援に携わりました。他にも発達障害や高次脳機能障害の方も利用されていて、身体の不自由な方もいれば、よく動く方もおり、賑やかな活動場所でした。

作業内容はものづくりがメインで、木工や裁縫、食品づくりをおこなっていました。わたしは洋裁ができたので、自分の得意なことを活かしながら2年ほど勤めました。

 

その後、また近所にできた放課後等デイサービスのオープニングスタッフとして勤務することになります。

この頃は子育てなど悩みも多く、障害のある子どもたちの支援を通して色々な支援機関とのつながりも増え、心理検査にも触れることがあったりと、障害のことを積極的に学ぶことが増えて、本格的に障害福祉の仕事に興味を持つようになりました。

 

 

--次に、「笑プラス」で働くことになったキッカケを教えてもらえますか?

 

折笠

その放課後等デイサービスでは約5年間も働いたのですが、中でも重度知的障害をお持ちのダウン症のお子さんとのやり取りは今でも覚えています。

そのお子さんはマカトンやジェスチャーで色々と伝えてくれていたのですが、私はそれを理解してあげられず、関係をつくることがとても難しかった記憶があります。

もうお手上げ状態になり、少し距離をとって自分なりに行動パターンを観察したり、支援のタイミングを考えながら関わるようになると、徐々に関係が良い方向へと変化していきました。

このようなお子さんが特別支援学校や放課後等デイサービスを卒業した後、どんなところで生活していくのだろう? と、疑問を持ちはじめたことが、生活介護のサービスを知ったキッカケです。

 

実は、社会福祉法人SHIPの運営する放課後等デイサービスのスタッフさんとお話しする機会があり、その方のキャリアのお話しやSHIPの運営する事業のお話しを聞いているうちに、SHIPという会社に興味を持つようになりました。

そして、今の生活介護「笑プラス」のオープンに合わせて入社することになります。

 

 

非常勤スタッフとしての「柔軟な働き方」

--非常勤のスタッフとして、どのような働き方をされていますか?

 

折笠

オープニングスタッフとして『12時~17時』のシフトで入っていました。

最初の5年間は家庭との両立のため、そのようなシフトで勤務していました。

早朝の家の家事と自営の主人の手伝いをしてから、つぎは子どもたちの朝の支度をしたりと、かなりバタバタした一日のスタートでした。

 

約1年前、子どもたちが自立して余裕ができたタイミングで、『10時~17時』のシフトに働き方を変えさせてもらいました。

このシフトですと、朝早くに主人を送り出した後に一息ついてから仕事に向かえますし、夕には自宅に帰って少し休憩してから家事ができるので、とてもよいバランスになっていると感じています。

職場から家に帰る間、買い物に寄ったりすることもリフレッシュのキッカケになっている気がします。

 

 

 

--生活介護「笑プラス」では、どのような役割を担っていますか?

 

折笠

正職員の常勤スタッフと非常勤のパートスタッフとで、3~4人のチームを組んで利用者様の支援にあたっています。

支援の方針などは正職員から伝えられるので、しっかり連携を図れるように情報共有を大切にしています。

たとえば、正職員から「利用者様のある場面の活動の様子をアセスメントしてほしい」と要望を受けて、所定のシートをもとに観察して記録をおこなったりします。

その結果を分析して、今度は構造化など実際の支援に入っていきます。

わたしも「笑プラス」での経験が6年になるので、そのような支援をおこなうと「だいたいこうなるだろうな」ということが分かってくるようになりました。

 

一方で、これは経験から分かることであり、理論的な根拠はまだまだ弱いと感じています。

ですから、これからはもっと正職員をはじめチームのみんなとの連携を深めていく必要性を感じています。

ただ観察をして記録するだけのような流れ作業にならないように、一つひとつの仕事の深い部分を知っていきたいです。

たとえば、何のためにおこなうアセスメントなのかといった目的の部分や、このアセスメントをおこなうことでどんな学習の積み上げを目指していくのかといった目標の部分は、とくに理解を深めたいポイントです。

また、目標に至るプロセスとしてどのようなことが予想され、実際にはどういった結果になり、それをどう評価していくか、チームとして丁寧に共有していきたいです。

 

 

「電車での出会い」が教えてくれたこと

--生活介護「笑プラス」の仕事を通じて、学びにつながったようなエピソードがあれば教えてもらえますか?

 

折笠

入社して2ヶ月の研修が終わったころのことだったと思います。

休日に電車で出かけていたとき、満員乗車に近い状態のなか、車イスの人がソワソワしながらまわりの人たちに話しかけていました。

おそらく麻痺があるために伝えたい言葉が伝わっていない様子でした。

そして、まわりの人たちは離れていってしまったり、関わらないようにしている人もいました。

 

私もどうしていいか分からなかったのですが、その人はしきりに足元を気にしている様子だったので、よ~く見てみると靴下がずり下がっていることに気づきました。

それが気持ち悪いのかと思い、自分のスマホで『靴下を履く』というイラストを検索して、その画像をお見せしたところ、うなずいてくれました。

ちょうど重度知的障害のある方への支援方法として絵カードなどを使ったコミュニケーションを学んでいたこともあり、言葉による意思疎通ができなくても、イラスト1枚で理解し合えるということを実感した瞬間でした。

実際に、健常者でも地図やトイレなどでピクトグラムを頼りに生活していることがたくさんある、ということにも気づくようになりました。

 

 

不要なこだわりを避ける「引き算」の支援

--重度知的障害をお持ちの利用者様とのコミュニケーションにおいて、とくに気をつけていることはありますか?

 

折笠

自閉症をお持ちの方々は、聴覚的な情報よりも視覚的な情報の方が理解しやすいので、分かりやすいように絵カードを使ったり、実物を見せて確認したり、マカトンを使うなどのコミュニケーションを積極的にしています。

また、ある出来事に対する理解の仕方が、必ずしも健常者と同じにならないことにも注意しています。

 

外出支援の際のエピソードとして、急な飛び出し防止のために『手をつなぐ』こともあります。

私たちはこの手つなぎを「危険防止のため」と理解をしますが、利用者様にとっては少し違う理解につながってしまいます。

たとえば、『手をつなぐと外に出られる』といった理解をされたり、『靴を履いたら手をつながなければならない』となるかも知れません。

 

このように、ある種の不要なこだわりを生み出す可能性についても考慮しなければいけません。

ですから、なるべく支援は引き算ということを意識して、手をつながなくても一人で外出できそうなら、あえてそのようにしてもらうこともあります。

 

 

 

--大変な仕事だと思いますが、やりがいの部分も教えてもらえますか?

 

折笠

わたしはオープニングから現在までの利用者様の変化を見てきたので、本当に変わったなぁ(成長されたなぁ)と感じることが多々あります。

ある利用者様からは、叩かれたり、髪の毛をつかまれたり、そういった他害行為をされてしまうことが頻繁にありました。

おそらく何かを訴えたいからそうしている訳なので、支援としては、もっと活動の見通しを立てた方がいいと考えました。

そして、スケジュールボードの提示方法を『一日通しのスケジュール』から、『3~4項目のスケジュール』へと情報を減らしてみました。

 

ある日、「あれ、そういえば最近、落ち着いて過ごされてますよね」と、その方の他害行為が減ったことに気づきました。

 

以前はおそらく、「次は何をすればいいの!」と混乱して不安になり、助けを求めていたのだと思います。そして今は、その必要がなくなったことで、落ち着いて過ごせるようになったのだと思います。

このように、1年前・2年前との違いを感じられること、利用者様が一歩ずつ成長している姿を見られること、そしてなにより私たち支援者も一緒に成長していることを感じられることがやりがいです。

 

 

日々の「生活の豊かさ」を増やすために

--生活介護「笑プラス」の魅力と、もっとよい事業所にしていくための課題点についても教えてください。

 

折笠

まず仕事の魅力としては、関係性だけで支援していないことです。

関係性だけの支援だと、他の支援者が同じサポートをできなくなってしまうからです。

視覚的なツールを活用することで、誰と関わっても正しい理解につながる環境があることは「笑プラス」の魅力だと思います。

 

職場の魅力としては、風通しのよいホワイトな雰囲気があるところです。

上司にもフランクに相談できるところも魅力だと思います。フランクに話せるほど信頼しているということです(笑)

また、非常勤スタッフに対しても福利厚生が充実しているところも良いですね。

 

課題点については、非常勤スタッフも専門的な知識を底上げしていく必要があると思っています。

具体的には、正職員と同じ研修や勉強の機会を得られたら、もっと質の部分を追究していけると思います。

先ほども言いましたが、ただ仕事をこなしているだけでなく、一つひとつの支援に対する目的や目標、とくにどんな考えや想いをもってチームとして支援していくかについて、もっと話し合っていきたいです。

そして、質の高い支援を積み上げて、利用者様のこの先のできることが増えて、穏やかに過ごせる時間が増えるようにしていきたいです。

 

 

 

--では最後に、この仕事に興味をお持ちの人たちに向けてメッセージをいただけますか?

 

折笠

障害者施設といっても多種多様にあります。

「笑プラス」は、重度知的障害者向けの生活介護事業所です。デイサービスのようなイメージです。

言葉の理解の難しい利用者様がほとんどですが、目で見て分かりやすい支援ツールを使った構造化を進め、日々の生活の質の向上を目的に活動しています。

また、質の高い支援ができるように研修会もありますので安心して勤務できる環境があると思います。

利用者様の生活の質の向上のために、一緒にゆっくりとステップアップしていきましょう!

 


 

折笠さん、この度はインタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

家庭と仕事との両立方法や福祉の仕事に対する想いなど、貴重な情報をいただいたので、参考になった方は多かったのではないでしょうか?

 

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