【パート職員インタビュー】「障害福祉の仕事は ”天職” との出会い」生活介護「笑プラス」岩田さん

生活介護「笑(えみ)プラス」の生活支援員(パート職)として活躍されている岩田さんにお話しをうかがいました。

障害福祉のお仕事は、ボランティアの時代も含めると20年以上にもなる介護福祉士のスタッフさんです。

そんな業界ベテランの方が、なぜ非常勤の雇用形態で働いておられるのか? 興味深く質問させていただきました。

ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。

(※生活介護とは、障害支援区分3以上の方を対象として、主に昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護や、日常生活上の支援、生産活動の機会等を提供する障害福祉サービスです。)

 

福祉の道へ:自分の居場所を見つけるまで

-岩田さんの職歴を簡単に教えてもらえますか?

 

岩田

専門学校を卒業後、税理士の資格を取るために、会計事務所や税理士事務所で4年間 働きながら夜間は学校にも通っていました。

税理士資格まで残り1科目、合格が視野に入ってきた頃のこと、「自分には『頭を使う仕事』より、『身体を使う仕事』の方が合っているのでは?」と考え直し、リサイクル工場で勤めはじめます。ただそこでも、何となくしっくり来ない感覚を持ちながら働くことになります。

ちょうどその頃、大好きな馬との触れ合いの中で『乗馬療育』というものに出会い、障害者の方や障害のある子どもたちが乗馬するのをお手伝いするボランティアに携わるようになりました。

乗馬療育では、馬を乗りこなすことで体幹やバランス感覚を養ったり、馬との触れ合いを通した心理的ケアの効果もあり、そういった馬と障害のある方々との交流を通して、自分のやりたいことがなんとなく見えてきました。

そして、あらためて将来的に、障害のある人たちとの関わり方を考える中で、「ちゃんと勉強しないと」と思い、『ヘルパー2級』(現在の「介護職員初任者研修」)を取得し、障害児向け余暇活動のボランティアスタッフをすることになりました。

この経験が、障害福祉の道に進んだ契機となります。

 

 

-そしてその後、実際に支援の仕事に就くわけですね。

 

岩田

実はこの頃、将来がよく見えなくなっており、ただお金を稼ぐだけの仕事がしっくりこず、このまま続けていていいのかと悩んでいる時期でした。

一方、ボランティアでは、知的障害や自閉症のお子さんたちとの触れ合いがとても楽しかったのです。

それまでは自分のことしか考えていない人生でしたが、毎日が学びで、反省で、喜びで、「こんな自分でも役に立てるんだ!」と感じさせてもらえる体験でした。

そして、「これを職業にできたらいいな」と考えるようになり、色々と調べる中で、移動支援行動援護(障害者・児の外出のお手伝い)の仕事に就いてみることになりました。

外出支援はマンツーマンなので、とにかく必死でした・・・

主に知的障害や自閉症のある方と一緒に、余暇のサポートとして外出するわけですが、交通ルールをはじめ、外には危険がいっぱいです。そして、どんなことが起きても自分ひとりで解決しなければなりません。

そして、最初の3年は非常勤として働いていたのですが、4年目から常勤となり、のちにサービス提供責任者として勤務させていただくことになります。また、会計の資格を活かし法人税等の申告書類の作成にも携わっていました。

 

 

 

管理職から現場へ、そしてSHIPへ

-SHIPに入社するまでは、そこからどのような経緯をたどるのでしょうか?

 

岩田

実は、知り合いが放課後等デイサービスを新規オープンすることになり、そこの管理者児童発達支援管理責任者としてスカウトされたことがキッカケで、4年ほど療育にも携わることになります。

ただその後、管理職よりも現場に出たかったことと、高齢者の分野も経験を積みたかったこともあり、機能訓練型のデイサービスで働くことになります。

でもやっぱり、「自分は障害福祉の分野で働きたい!」という想いが強まり、ちょうどその頃に元同僚が生活介護「笑プラス」に勤めていたこともあって、これは巡り合わせだと思い、面接を受け、SHIPへの入社に至りました。

生活介護「笑プラス」での勤務はもう4年目になり、けっこうベテランの部類に入ってきました。

今、こうして振り返ってみると、障害福祉の仕事との出会いは、私にとって奇跡のようなもので、本当に天職だと感じています。

 

採用情報

-障害福祉業界での経験が豊富なうえ管理職のキャリアもある岩田さんが、なぜ今、正社員でなく、パート職として働いているのでしょうか?

 

岩田

とにかく利用者様と向き合えることが一番の喜びなので、管理的な業務や事務作業を極力しない、直接支援の時間がたくさん取れる今の働き方を選びました。

放課後等デイサービスで 管理者 兼 児童発達支援管理責任者 として勤務していたときに、どうしても根詰めて管理業務に取り組んでしまうことがありました。

そういった性分なので、家にまで仕事を持ちかえったり、気持ちのオン・オフが切り替えられなくなりました・・・

結果として、『利用者様と向き合う』という一番の望みからかけ離れていってしまうので、「笑プラス」ではあえてパート職として平日の9:00~18:00までのシフトで働いています。

 

 

利用者の視点を大切に:支援の現場で働く喜び

-岩田さんよりもお若くて、経験の浅いスタッフさんと上手くやっていくのは大変ではありませんか?

 

岩田

「笑プラス」では、実際に正社員のスタッフさんの方が経験が浅く、パート職の方が経験が長い、という側面もあります。

ですが「笑プラス」には、今までのどの職場よりも良い雰囲気があります。あうんの呼吸で支援ができているときも多いので、この状態を維持していきたいと思っています。

利用者様の特性上、支援中にスタッフ同士で会話する時間は限られます。でも、利用者様がいない時間帯であれば、みんな積極的に話し合える、とても笑顔の多い職場です。

本当に明るくて優しいスタッフさんばかりなので、人見知りな私ですが、まわりの人たちに助けられています。

 

 

-今までの経験から得られた支援観のような部分は、他のスタッフさんとどのように共有していますか?

 

岩田

障害福祉の経験も、「笑プラス」での経験も、かなり長いということもあって、利用者様目線での考え方を色々と伝えさせてもらうことはあります。逆に、正社員の皆さんから意見を聞いてもらえることもあり嬉しく思います。

私がとくに大事にしていきたい部分は、「支援者側の押し付けにならないように」ということです。

よく支援現場では起こりがちですが、いつの間にか支援者の都合によって「こうしたい、こうさせたい」の取り組みになってしまうことがあります。

そもそもですが、ご本人が生活しやすくなるために私たち支援者がいるはずなので、利用者様の立場や視点に戻って意見交換していくという姿勢を意識しています。

 

 

 

安心を提供し、楽しい時間をつくる仕事

-「笑プラス」では、具体的にはどのような役割を担っていますか?

 

岩田

まずは、安全に日中の活動をサポートすることが一番の役割になります。

その上で個別の支援計画に基づいた支援方針を理解し、行動を観察したり、実際に関わって知り得た情報を、正社員であるケース担当へと伝えていきます。

安全確保の観点は、外出支援のウォーキング中、とくに意識しています。

 

実は、過去の移動支援や行動援護の経験から教訓としていることがあります。

それは「安全で安心で楽しい空間をつくること」と「楽しい時間をつくること」です。

楽しむためには安心してもらう必要があり、安心してもらうには安全な環境を提供する必要がある。という社会参加の土台の部分が大切です。

そのため、経験の浅いスタッフさんには、移動支援時のスタッフの立ち位置、横断歩道の後方確認など、細かいアドバイスをさせてもらうこともあります。

 

 

-この仕事の『やりがい』についても教えてもらえますか?

 

岩田

繰り返しになりますが、過去には移動支援や行動援護といったマンツーマンの支援の仕事に長く勤めてきたこともあり、どんなことがあっても一人で解決してきたという自負があります。

ですから、利用者様が不穏なときの対応は緊張感もありますが、同時にやりがいも感じています。それは、「辛い気持ちを少しでも早く解消してあげたい」という想いから来ています。

どうしたら不穏な状態がはやく治まるか、ご本人の視点に立って懸命に考え、ある種の正解にたどり着いたときの達成感はやりがいにつながっていると思います。

 

 

可能性を信じ、チャレンジを続けること

-不穏な状態について、もう少し教えてもらえますか?

 

岩田

たとえば、大きな声を出したり、つかみかかったり、頭を床にたたきつけたり、といった状態のことです。

不穏時の利用者様は、とても混乱された表情をされています。

一番つらい想いをしているのは利用者様ご本人ですが、はたから見ると『暴れている』とも捉えられてしまいます。

行動が激しくなると制止せざるを得ませんが、強く制止すると、当たり前ですが抵抗も強まります。

言語化するのが難しいのですが、そういった背景も理解したうえで、できる限り気持ちに寄り添いながら制止すると、それが伝わったかのように抵抗も和らいでいきます。

「笑プラス」では、基本的に視覚的に情報を提示する『絵カード』などを使って利用者様とのコミュニケーションを図りますが、私はそこにプラスして、気持ちに寄り添うことも大切に支援をしています。

これは不穏時だけでなく、普段の支援からでも意識している部分です。

絵カードの提示一つをとっても、威圧感を与えないように、優しさや安心感を添えられるようにと、人としての交流の部分を大切にしています。

 

 

 

-これから「笑プラス」がさらに成長していくためには、どのようなことが必要だと思いますか?

 

岩田

スタッフ一人ひとりが、利用者様のことを第一に考え、常にチャレンジし続けることが必要だと思います。

現在、「笑プラス」の利用者の皆さん、比較的 安定した生活を送れていると感じています。

重度の知的障害や自閉症のある人たちが落ち着いている姿を見ると、それこそ最高だと考えてしまいがちです。

一方、『できる部分が増えてきている』という姿も見ていると、まだまだ利用者の皆さんの可能性は無限大にあることにも気づかされます。

ですから、スタッフが利用者様の可能性を信じて、もっとできる部分や生活の幅が広がるようにチャレンジして、スタッフ目線ではなく、利用者様目線での生活の質を高めていく支援を進めていきたいです。

SHIPではグループホームの住まいの場と、生活介護の活動の場で、利用者様の人生の大部分に関わっていきます。ですから、私たち支援者次第で利用者様の人生は大きく変わっていくことになります。

きっと上手くいかないこともたくさんありますが、それでも「ダメだった・・・」だけで終わることなく、もっとポジティブな要素がたくさんあることに目を向けて、みんなで意見を出し合って、一人ひとりの幸せな人生に向けてチャレンジを続けていきたいです。

 

 

未経験でも安心! SHIPで支援のスキルを磨こう

-では最後に、SHIPでの支援の仕事に興味を持っておられる方々に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

 

岩田

利用者様のほとんどは、重度知的障害や自閉症をお持ちの方で、障害支援区分5~6と支援の必要度の高い方が利用されています。

しかしこれは区分判定の話であって、「笑プラス」では、利用者様一人ひとりの特性に合わせた環境調整や個別プログラムを取り入れることで、みなさん落ち着いて日中の活動を過ごしておられます。

また、このような環境調整は、働くスタッフの側から見ても『今は何をやるべきか』がハッキリしていてとても働きやすい環境になっていると思います。

経験・未経験を問わず、学びの多い職場ですので、興味のある方はぜひ一緒に働いてみませんか?

 

 


 

岩田さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました。

どんな想いで福祉の世界に携わっておられるのか、とても興味深く聴かせていただきました!

 

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