【職員インタビュー】営業職からチームワークの福祉へ 友セカンド・渡邉さん
グループホーム「友セカンド」の世話人の渡邉さんにお話を伺いました。
前職までは営業の仕事に就いており、福祉はまったくの未経験から、2022年12月に社会福祉法人SHIPへ入社されました。
高校サッカーでは、全国大会準優勝を経験したこともあるスタッフさんです!
未経験から障害者支援の仕事に携わって2年弱、実際に仕事をしてみてどうだったか、またこれからの展望などについてインタビューさせていただきました。
「非日常な光景」に動揺した初日
――簡単な経歴を教えてください。
渡邉
大学を卒業後、約4年間一部上場の証券会社でファイナンシャルプランナーとして営業の仕事に就きました。その後、家具販売の会社に転職して11年間、営業の仕事をしていました。
その会社が経営難に陥り、家電関係の会社に買収されたのをキッカケに転職を考えはじめました。
――SHIPに転職したキッカケを教えてください。
渡邉
実は身近に障害者の方がいたこともあり、「福祉」の仕事も選択肢に入っていました。
そんなこともあり、直前の家電関係の会社で新しい家電の知識を覚えていくといった働き方より、困っている方や障害をお持ちの方のお手伝いをしたいと考えるようになりました。
実際に面接官とお話しさせていただいたり、職場体験として職員の皆さんのお話を聞いてみて、働く人たちの人柄の良さを感じ、福祉業界にチャレンジしてみることに決めました。
――全くの未経験ということですが、実際入ってみてどんなことを感じましたか?
渡邉
色々あるのですが、初日から動揺したことをよく覚えています。
ちょうど利用者様が不穏になられて他害が起きた日でした。あまりの非日常的な光景を目の当たりに、動けなくなってしまいました・・・
そんな中、先輩が危害を受けないように私を守ってくれて、さらに利用者様のことも身体を張ってケアしている姿を見て「本当にすごいな!」と感激しました。
チームワークだからこその「やりがい」と「難しさ」
――現在の仕事内容を教えてください。
渡邉
利用者様の生活全般の介助、グループホームの運営、大きく分けてこの二つの業務をおこなっており、現在、2名の利用者様を担当しています。
生活全般の介助について具体的には、入浴や歯磨きの介助、誤飲のないよう食事の見守り、ミスのないよう服薬介助、通院同行などがメインです。早番・遅番・夜勤のシフト制で、1階と2階のフロアに分かれてサポートをおこなっています。
グループホームの運営については、支援に入る前におこなう環境調整などの準備、日用品の買い物、ご家族との連絡調整、支援体制の管理などがあります。
――未経験からの転職ですが、この仕事のやりがいを教えてもらえますか?
渡邉
チーム支援が上手くいき、利用者様への支援がハマったとき、非常にやりがいを感じます。
今までの営業職では自分一人の頑張りが成績に直結していましたが、今の職場ではチームとしての頑張りが支援の成果に直結します。
印象に残っているエピソードとしては、初めて担当した利用者様(重度知的障害により言葉によるコミュニケーションが困難な方)へのトイレ誘導の支援が印象に残っています。
その方は、いつも起床してすぐトイレに行く流れがあったのですが、ある日を境に、突然行かなくなってしまいました。
誘導しても拒否されて、布団がビシャビシャ、朝食の時に失禁をくり返す事態になってしまいました・・・
悩んだ末に、先輩職員にアドバイスをもらいながら、支援方法を少し変えてみることにしました。
支援の仕方を検討する上で意識したことは、利用者様の興味があることを活かすこと、トイレに対する動機を高めること、生活の見通しを分かりやすくすることでした。
この利用者様は『ご飯』がとても好きな方でしたので、「トイレに行けば、次はご飯」と手順を変更することで、トイレに対する動機が高まり、同時に生活の見通しもイメージしやすくなるのでは、との考えに至りました。
併せて、今までは「トイレ」の写真カード1枚だけを見せて誘導していたのですが、変更後は「トイレ」と「ごはん」の2枚に増やして提示し、こちらの期待を時間の流れとして伝えてみることにしました。
すると、ご自身で写真を触って無理なくトイレに行くことができました! そして、尿失禁はまったくなくなり、みんなで「上手くいって良かった!」と、喜び合ったことを鮮明に覚えています。
利用者様の「安全・安心」を第一に
――現在、特に力を入れていることと、具体的な取り組みについて教えてください。
渡邉
一つでも事故の可能性をなくしていきたいというのが一番にあります。
先日、ふとした隙に利用者様が一人で外出してしまうことがありました。 すぐに捜索して、近くの保育園で見つかり事なきを得たのですが、ちょうど同じころに別法人のグループホームでも利用者様が迷子の末にお亡くなりになったという情報が入りました。
このとき、あらためて命を落とす危険もあったのだと痛感させられました。
仕事に慣れてくるとどうしても細かな意識を怠りがちになります。
日頃から安全管理の意識を高めるためにも、たとえば『扉の施錠』の確認は何度もするなどルーティンとして定着させるべく、いつも自分の中に安全と安心を意識づけするようにしています。
――今後のご自身の課題感と、その解決にどのように取り組んでいるのかも教えてもらえますか?
渡邉
まずは知識と経験を積むことが一番の課題です。
SHIPでは毎月、本部事務局の育成担当による研修を受けることができます。その内容を振り返り、分からないことがあればその場で質問するようにしています。
いろいろなテーマの研修を受けられますが、一方的に聞くだけでなく、グループワークなどで実際の利用者さまの事例に当てはめて考えていけるので、とても楽しく学ばせていただいています。
いずれは介護福祉士などの資格を取りたいのですが、そのためにも実務経験を積み重ねることからと思っています。
フラットで話しやすく、「人の温かさ」を感じられる職場
――職場の雰囲気や、働きやすさを教えてください。
渡邉
すごくフラットで話しやすい職場です。
人当たりの良い、優しい方が多く、細かいことやどうでもいいような小さなことまで気にかけてもらえています。
利用者様の支援に入るとそれなりの緊張感はありますが、利用者様が外出されている日中の時間帯は職員同士で話す時間をつくることができます。その際に雑談も含めて色々とコミュニケーションを図れる本当にアットホームな職場です。
アットホームが故に意見を言いやすく、議論が活発というか激しくなることもあります。これらを上手くまとめていけると、もっとよい職場になっていけると感じています。
働きやすさは、シフトの希望を取り入れてもらえるところが嬉しく思います。
あともう一つビックリしたことは、どれだけ業務が忙しくても、一時間は必ず休憩は取らせてもらえることです。
今までの職業生活を振り返ってみると、忙しくなれば当たり前のように休憩時間を削って仕事をしていましたので・・・
色々な意味で、オン・オフを切り替えて、余裕をもって支援業務に臨めるように配慮された職場環境があると感じています。
――お給料やライフワークバランスについては、どう感じていますか?
渡邉
年収については、福祉業界は正直、もっと給与が低いと思っていたのですが、前職とあまり変わりませんでした。
営業職でたくさん稼いでいた時よりは低いのですが、営業だと成績によって波があったので、現状に不満はありません。
また、前職に比べてライフワークバランスが取れていると感じますし、残業もほとんどないですね。私の経験上、本当に数えるくらいしかなく、あっても10分から30分くらいの残業で、基本的にみなさん定時で帰れているのですごく助かります。
――渡辺さんが感じている職場のおすすめポイントを教えてもらえますか?
渡邉
おススメのポイントは、人間味のある会社だということです。
わたしは営業職しか経験はありませんが、福祉でもこんなに働きやすい会社はあるんだなぁと感じています。
仕事の重圧に苦しみながら働くのがイヤだ、会社に行きたくない、という人は世の中にたくさんいると思います。
本当に人の温かさ、チームでの協力を感じられるので、私のように未経験の方にもぜひ一緒に働いてもらえたらと思います。
福祉には「キツい、汚い、危険」の3Kと言われるイメージしかありませんでしたが、実際に働いてみた今は、たくさんの人にこの世界を知ってほしいという気持ちがすごく沸いてきました!
私のような未経験の人にもぜひこの業界に飛び込んでもらいたいですし、できれば友セカンドやSHIPで一緒に働けたらと思います。
経験や技術よりも「柔軟性」と「人間性」が大事
――どんな人がSHIPに向いている、またどんな人と一緒に働きたいと思いますか?
渡邉
向いていると思う人は、柔軟性のある方です。
自分のやり方にこだわって押し付けたり、まわりの意見を聞かないと、上手くいきません。
相手の話を聴いて、相手の立場に立って考えられる人、自分の考えに固執せず、他のやり方にも目を向けて柔軟に考えられる人と働きたいです。
一緒に働きたい人は、人間性を尊敬できる方です。
今の職場の人たちがそうなのですが、人の気持ちを考えたり、相手が仕事しやすいように配慮したりしてくれる方です。
でも、間違っていることに対しては、「これはこうした方がいいんじゃないか?」と、優しく意見を伝えてくれる人は本当に尊敬できます。
支援の経験や技術も大切ですが、そういった人間性を尊敬できる方々と一緒に働きたいです。
渡邉さん、ありがとうございました。
私も長いことグループホームで働いていましたので、共感するお話がとても多かったです。
利用者様の安全や、職場の課題に取り組みたいという気持ちがとても頼もしいと感じたので、ぜひこれからも頑張ってほしいですね!
障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士