【職員インタビュー】未経験からスタート「支援の意味」が分かると不安が楽しさに!生活介護 笑・土屋さん

生活介護「笑(えみ)」の生活支援員の土屋さん、

整体の仕事に長く就いた後、転職して2024年2月に入社されました。

整体師・カイロプラクティックの資格をお持ちです。

福祉はまったくの未経験だそうですが、約半年、SHIPで働いてみての感想をインタビューさせていただきました。

 

「人と接する仕事を長く続けたい」と福祉の世界へ

――簡単な経歴を教えてください。

 

土屋

インテリア系の専門学校を卒業し、建築系の会社に就職しましたが、「人と関わるような仕事がしたい」と思い立って、整体の専門学校に通いました。

整体師、カイロプラクティック師の資格を取得し、約16年、整体の仕事を続けてきました。

その後、施設管理系の仕事に2年ほど就いた後、新しいキャリアに挑戦したいと考え、SHIPへ転職しました。

 

 

――SHIPに転職したキッカケを教えてください。

 

土屋

やっぱり人と関わる仕事がしたいという思いがありました。

福祉についてはそこまで深い考えや使命感があったわけではなく、人と接するのは楽しいし、感謝してもらえる、喜んでもらえるのが良い仕事だなと感じていました。

SHIPのことは、ネットで転職先を検索していたときにスカウトメールをいただいて知りました。調べてみると、自分が福祉に何となく持っていた気合や根性、自己犠牲のようなイメージとは違うかな、と思いました。

さらに面接でお話を聞いて、企業としてしっかり理念を持っていることなどにも惹かれました。あとは年齢が高くても長く続けていけるのではと考え、また資格もゆくゆくは取れると聞き、入社を決めました。

 

 

採用情報

 

――現在の仕事内容を教えてください。

 

土屋

生活支援員として自立課題の設計、ウォーキングやドライブの同行などをおこなっています。

入社して3ヶ月ぐらいで担当の利用者様を持たせてもらい、現在は4名を担当していますが、最初から最後まで全てを一人で対応しているわけではなく、他の職員さんにフォローしてもらいながら取り組んでいます。

 

 

――生活介護「笑(えみ)」の利用者様はどういった方が多いですか。

 

土屋

障害支援区分5以上の重度知的障害の方が20名ほどいらっしゃいます。

障害支援区分についてもまだ勉強中ですが、言葉でのコミュニケーションを取るのが難しい方が多い印象です。

また、ご自身である程度、服を着たり歩いたりはできるのですが、予め決まっていないことへの取り組みは難しいという方が多い印象です。

言葉をお話しされる方もいますが、会話としては成り立たないことが多いです。

ご自分の好きな言葉をただ口に出しているとか、こちらの言うことに「はい」と返答されても、それが本当に返答かは分からないといったことがあります。

返答があるのでお話が通じているのかと思っていたのですが、反射的に「はい」と言っただけで、まったく通じていなかったということが何度もありました。

だから視覚的な情報提示によるコミュニケーションが必要なのだと理解しました。

 

 

「何のための支援か」が分かって仕事が楽しくなってきた

――入社から約6ヶ月経ちましたが、障害福祉の仕事をしてみてどうでしたか?

 

土屋

重たい障害をお持ちの方々と密接に関わることは初めての経験でした。

入社当初、先輩から「ここは自立を支援する場所なので、一般的な対応とは違う」と聞きました。

それで苦労される職員が多いということで、すごく気を遣ってもらったのですが、わたしは障害の知識がない分、「笑(えみ)」での支援をそのまま受け入れることができ、固定観念や理想像とのギャップはありませんでした。

でも、日々の業務で精いっぱいで、利用者様の自立課題も何のためにしているのか分からず、ただただ手伝っているだけの状態でした。

最近ようやく「何のためにこの課題をやっているのか」とか、「この支援をすることで、豊かな生活を送れるような手助けになっているんだな」というのが、少しずつ分かってきて、今はすごく楽しいなと感じながら取り組んでいます。

 

 

――仕事のやりがい、大変なことを教えてください。

 

土屋

やりがいは、利用者様の成長を感じられることです。

ようやく、担当する利用者様の性格などが分かってきて、その方に合った課題を考えたり、自分の支援によって「あ、成長してくれているんだ」と感じることがすごく楽しいです。

利用者様の方も最初は「何だこの人は」とすごく警戒していたと思うのですが、だんだん打ち解けて、受け入れてもらえたようでありがたいなと感じています。

 

大変なことは、やはり「基礎知識がない」ことですね。

本当に未経験でしたし、とくにSHIPはTEACCHプログラムに取り組んでいて、専門的な知識を持つ方がすごく多いので、その中で自分の知識不足は日々実感しています。

利用者様に何をしていいのか、自分がやっていることが合っているか分からないという不安はすごく感じました。でも、先輩たちにアドバイスやフォローをいただけるので、ここ数ヶ月で支援について分かってきた感覚があります。

 

 

 

――『分かってきた』とは、具体的にはどういう部分でですか。

 

土屋

例えば、カードによる視覚的な情報提示のことです。

話し言葉でのコミュニケーションが難しい方へ、カードに描かれた絵や写真などを使ってコミュニケーションを取るのですが、最初はやり方が分からず、むしろカードを使う方がダメなのではないかと感じていました。

言葉を理解できるイメージがどうしても頭に残っているので、ついつい口頭で伝えてしまいます。でも今は、それが利用者様にとっては負担になっていたことに気づくことができました。

 

 

またスケジュール管理の必要性も理解できました。

はじめの頃は「なぜ細かくスケジュールを貼って、全てその通りに活動させるのか」、、、その意味が分かりませんでした。

今では、スケジュールがないとなかなか行動できないということや、スケジュール通り動くことで不安が減って心地よい環境になるのだということがようやく分かり、とても勉強になりました。

 

「世間一般で言われる丁寧な支援が、本当に丁寧な支援なのか」

最初の数ヶ月で考えさせられ、実感することができたと思います。

 

当初は、手を出して支えてあげるとか、落としたら拾ってあげるとか、できないことをフォローしてあげようというのが、自分の過去の経験から染みついて出ていました。

そういった思いやりのような支援を「やらない」という方針に、正直なところ疑問があったのですが、障害支援についての知識を得るにつれて「その支援は違う」ということが分かりました。

支援者の都合ではなく、利用者様にとって必要な支援が分かり、それができるようになったことが自分にとってはすごくプラスになったと感じています。

 

 

 

決まった課題とは違う「空き時間の支援」の難しさ

――「笑(えみ)」が特に力を入れている支援は何ですか?

 

土屋

今、力を入れていることのひとつに「余暇時間の充実」があります。

決まった作業や自立課題に取り組むことはみなさん得意なのですが、その合間の「空き時間」に何をして過ごすのかが苦手な方がすごく多いです。

その時間をどうやって充実させていこうかと、「笑(えみ)」全体で取り組んでいるところです。

 

 

――具体的にはどういう困ったことがありましたか?

 

土屋

担当している利用者様にパズルを提供しているのですが、いつもの自立課題と違って決まりごとがありません。

「この時間はパズルで過ごしてください」と提供するのですが、利用者様も「なにを・どこまで」やったらいいか、時間までに何個やったらいいか、ということがご自分では分からないようです。

結果として、違うことをしたり、何もしない時間を過ごしてしまったり、ということになってしまいます。

「空き時間」をもっと楽しく、リラックスして過ごしてもらいたいと考えているところです。

決まった課題は利用者様にとって分かりやすく、過去の事例を参考に提供できますが、余暇時間は決まりごとがない分、個別に合わせていくことがすごく難しいなと感じています。

 

 

 

経験豊富な先輩スタッフが多く、楽しく学べる職場

――職場の雰囲気や、どんな職員がいるのかを教えてください。

 

土屋

「笑(えみ)」には、経験豊富なスタッフが多いです。

SHIPでの経験はそんなに長くなくても、他でいろいろ経験されている方が多いです。

ということで、最初の頃はスタッフ間の連携や関係性が難しいのかなと不安だったのですが、非常勤のスタッフさんにも長く勤めている方が多く、全く知識がない中でも全体でフォローしてもらえる環境があって、すごく働きやすかったです。

本当にまったく知識や経験がなかったので、逆に受け入れてもらいやすかったのかも知れません。聞くこと全てが勉強になっているので、すごく楽しく学ばせてもらっています。

 

 

 

――「勉強」という言葉が出ましたが、社内での研修についてはどうでしょうか?

 

土屋

入社後の最初の3ヶ月は内部研修を受けました。

他にも外部の強度行動障害支援者養成の外部研修も受けることになり、勤務時間内で受講できるようスケジュールを組んでいただいています。

まだ新人なので、社内の規程や支援の基本的な流れなど、内容は基礎的なことが多いのですが、私にとってはすごく勉強になることが多いです。とくに虐待防止の研修(バウンダリー研修)は、その内容自体が面白かったです。

研修の内容も『絶対こうしなきゃいけない』というよりも、チームでディスカッションしながら自分たちで考えるカタチの講義が多いですね。

 

 

――前職と比べて、休日などについての働きやすさはどうか教えてください

 

土屋

今までの仕事は、休日は不規則だったのですが、今は休みがキッチリ決まっていますし、ほぼ定時で帰れますので予定も立てやすいです。休日出勤とか残業の指示とかはないですね。

その分、体力的にも前職・前々職に比べて余裕を感じます。

お給料は正直、前職までに比べて低くなりました。ただ、休みの充実や新しいことを覚える楽しさがあるので、気になってはいません。

前職までは家族との時間もなかなか作れませんでしたし、やっぱり休みが不定期なのは精神的にキツかったなと思います。

 

 

 

個別の理解が深まり、支援が積極的に

――今後の課題と、そのために今取り組んでいることを教えてください。

 

土屋

まず、しっかりとした知識を身に付けなければいけないというのが課題です。

自分のためだけではなく、知識不足で利用者様にも迷惑をかけてしまうので、これは絶対必要だと思います。研修はスケジュールが組まれて、勉強の機会を与えてもらえているので、しっかり受けていきたいです。

 

あとは、利用者様の自立課題の作成にも積極的に取り組んでいます。

いま提供している課題ができるようになった方には、少し形を変えて似たような課題をいくつか提供していきたいです。たとえば、見本に沿ってつくる課題の場合は、その見本をあえて毎日変えることで『本当に見本をみて作れているのか』を観察しています。

 

最初は「あまり変えてはいけないのでは?」「変えて不穏になったらどうしよう・・・」などの不安がありました。

最近はようやく「この方なら、これは大丈夫!」「これはやったらだめだ!」など、利用者様との接し方や距離感が分かってきたので、新たな課題の提供に積極的に取り組めるようになってきました。

 

 

――「接し方が分かってきた」とのことですが、その理由を教えてもらえますか?

 

土屋

利用者様について資料と観察で理解を深められたからだと思います。

入社当初、個人ファイルの資料を読んで利用者様を理解しようとしましたが、あまりイメージがつきませんでした。

でも、資料を見ながら実際に利用者様を観察してみると、「ああやっぱり資料の通りだな」「これはダメで、ここまでは大丈夫なんだな」と、照らし合わせが少しずつできてきました。

 

最初の頃は「何もしないのが一番いいんじゃないか」とも思っていたのですが、先輩スタッフに相談すると「とりあえずやってみたら」「何かあればフォローはするので」と言ってもらえて、色々試す中で恐怖感も少なくなってきたのかなと思います。

上手くいかなかったことがあっても、それを元に違うやり方を考えるなど、次に繋がる一つの成果と思えるようになりました。

 

 

年齢や知識は関係なく、だれでもチャレンジできる仕事

――どんな人がSHIPに向いている、どんな人と働きたいと思いますか?

 

土屋

SHIPはいろいろと挑戦をしている会社で、今までの福祉とはちょっと違うのかなと思います。

福祉というと、利用者様に来ていただいて、何事もなく帰っていただければいいなというイメージだったのですが、 SHIPは利用者様が社会で生きていけるように、できることが増えるようにしっかりと考え、利用者様に寄り添っている会社だと思います。

 

そして、向いている人ですが、どんな人でも大丈夫だと思います。

例えば年齢や知識で諦めてしまうことはないと思います。

わたしも最初は不安があったのですが、入ってみると、若くないといけないとか、特別な知識が絶対に必要といったことはあまり関係ないと分かりました。

向き不向きはあるとは思いますが、入り口としては誰でも問題なく、チャレンジできるのではないかと思います。

 

 

一緒に働きたいと思う人は、楽しんで働ける人ですね。

利用者様が騒いでしまうなど、どうしても大変な場面がありますが、それも一つの経験として捉えられる人となら一緒に働いていても楽しいですし、ずっと続けていけるんだろうなと思います。

 

場面として、(他の利用者様の)叫び声に反応してつかみかかろうとした利用者様がいたときに止めに入ったのですが、逆に思いっきりつかまれるということがありました。

他害であざができるといった話は事前に聞いていたので、「なるほど、これがそうか」と感じました。でも、それで怖いなとか、もう近づきたくないな、ということはありませんでした。

皆さんすごく心配して声を掛けてくださったのですが、わたしの中では「こうやると怒ってしまうんだな」「こうしないといけなかったんだな」とそれはそれで一つの経験として捉えることができました。

 

 

――最後に、このインタビューの「まとめ」をしていただけないでしょうか

 

土屋

お話しさせていただいて、改めて今後の目標をしっかり持たないといけないと思いました。

日々の業務に追われて、何となく慌ただしく流れで動いてきた部分もあるので、振り返って今後を見定めなければならないし、また新たにしっかり利用者様と向き合わないといけないと思いました。

インタビューを通して、自分がどういう想いで働いているのかを思い直すことができ、また一からスタートラインに立ったような気持ちでいます。

 

 


 

土屋さん、ありがとうございました。

仕事がすごく楽しいと感じていることが伝わってきました。

また、自分も当初、知識がなかったころは同じように感じていたなぁと思い出し、改めて適切な支援について考えさせられました。

とにかく不安な中でも、先輩のアドバイスとフォローのおかげで積極的に取り組めたことも伝わってきました。

これからさらに専門的な知識を深めて、いずれはご自身が先輩となり、頑張ってほしいですね!