【職員インタビュー】「挑戦しやすい・発信しやすい」組織風土 ラファミド八王子・武田さん
グループホーム「ラファミド八王子(以下、ラファミド)」の世話人、武田さんにインタビューさせていただきました。
スーパーに勤務後、福祉職に転職し、NPO法人と株式会社のグループホームに勤務され、2022年11月にSHIPに転職されました。
精神保健福祉士の資格をお持ちです。
グループホームで働くのは3社目なので、前職までとの違いもお聞きしました。
「施設から地域へ」の取り組みに共感し、転職
――簡単な経歴を教えてください。
武田
――SHIPに入社したキッカケを教えてください。
武田
転職サイトに登録後、SHIPからスカウトメールが届き、ホームページの事例研究やスタッフブログなどを見てみました。
前職で、役所や医療機関、福祉事業所などに営業に行った際、「重度障害者の行き先がない」という話を多く聞き、社会問題のひとつだと感じていたので、「施設から地域に」「脱施設化」を法人全体で目指していく姿勢に共感しました。
単に目指しているだけなく、支援技術やツールもしっかり紹介されていたのも魅力的で、ここでなら社会貢献ができ、自分自身のスキルアップにもなると思いました。
相談支援専門員をやりたい気持ちもありましたが、SHIPには相談支援事業所もあるので、いずれ異動の可能性もありますし、これまで経験したグループホームとの違いを見てみたいと思い、ラファミドの世話人での入社を決めました。
他社とは違った、ラファミド八王子の支援体制
――現在の仕事内容を教えてください。
武田
ラファミド八王子の世話人として、主にアパートタイプの5、7棟に勤務しています。
利用者様は、現在は5棟3名、7棟9名、年齢は20~70代で、精神障害、知的障害、発達障害の方たちです。私ともう一人の常勤スタッフで6名ずつ担当し、他に非常勤パートのスタッフとでチームを組んで支援にあたっています。
仕事内容は、サービス管理責任者(以下、サビ管)の作成した個別支援計画に沿って、衣食住、医療、金銭管理、対人関係など、生活全般の支援をしています。
――前職までのグループホームと違いについて、感じたことを教えてください。
武田
今までのグループホームは食事提供をしていたので、ラファミドはないことに驚きました。
前職までは、最初は料理経験がまったくないまま夕食の準備を任され大変でしたし、献立、買い物や調理などに、かなりの時間と労力を割かれていました。その分を事務や面談などの業務を使えるのはすごくメリットです。
一方で、デメリットは食事に関する情報が見えにくいことです。
利用者様が集まっての食事は、コミュニケーションや嚥下の様子などをアセスメントできる場でした。ラファミドでは、居室に訪問して確認できることもありますが、年齢が高い方だと、食事中の安全性など、どうしても心配ではあります。
利用者様にとっては、食事時間が決まっていないことで、日中活動への制限がないこと、自分の好きなタイミングで好きな物が食べられることがメリットだと思います。
デメリットは、自由な分、偏ってしまうことですね。金銭的に厳しい方だと、ご飯を抜く、カップラーメンだけなど、栄養バランスが崩れる心配があり、個別の支援が必要です。
常に「個別」にアップデート
――仕事のやりがい、大変なことを教えてください。
武田
利用者様の目標に向けて一歩一歩進んでいる姿に、やりがいを感じます。
ある利用者様は、施設生活が長く、普通の生活に憧れる一方で、日中活動先が決まらず時間を持て余し、オンラインショッピングで借金を抱えていました。
対人関係や仕事が合わないため短期間での退職をくり返していましたが、現在は3年以上勤務できています。
ご本人の努力と、ご本人に合う仕事内容や職場環境を提供できたこと、定期的なカンファレンスでモチベーションの維持を図ったことが要因だと思います。
借金も清算し、金銭管理も完全に自立でき、今は憧れていた一人暮らしに向け貯金を頑張っておられます。
大変なことは、スマートフォンの普及によるトラブルです。
いろいろな情報にアクセスでき、SNSで気軽に人とつながれて便利な一方、障害特性によってはマイナスになる場合もあります。
例えばゲーム課金での生活費の困窮、対人トラブルからの心身不調、確証バイアスで都合のいい情報を集めて治療や支援を拒否するといったケースがあります。事後対応になることが多く、介入が難しい場合もあります。
問題が起きた後に相談されることが多く、利用者様と一緒に情報を整理して、どうするべきか検討するよう対応しています。
――特に力を入れている支援を教えてください。
武田
バイステックの7原則の「個別化」を意識して取り組んでいます。
統合失調症でも、幻覚や妄想などの陽性症状、感情の平板化や意欲の減退など陰性症状、記憶力や注意力が低下する認知機能障害など、人によって様々です。
さらに、発達障害や知的障害の有無、成育歴や家庭環境、学生生活や就職経験、趣味嗜好や学習スタイルなど、誰一人として同じ人はいません。生活の課題や目標も人それぞれなので、統合失調症だからこう、ではなく一人ひとりに合わせた対応を心掛けています。
例えば、何かを説明するときも、口頭で理解できる方もいれば、文章で視覚的に伝える方が理解できる方もいます。
文章作成も、情報を絞ったり、必要なら写真を加えたり、その方が理解しやすい書式にして、その上で自己決定・自己選択できるよう働きかけています。
利用者様一人ひとりがどういう方か常にアップデートしながら対応するようにしています。
「ワンランク上の支援者へ」応援してもらえる職場
――職場の雰囲気、魅力を教えてください。
武田
「挑戦しやすい」雰囲気だと思います。
サビ管の矢部さん、世話人の谷垣さん、生活支援員の増田さんがいますが、朝礼や終礼時に、自分の考えや取り組みを報告すると、みなさん「いいんじゃないの」と見守ってくれます。困ったときはしっかりフォローしてくださるので、失敗を恐れず挑戦できます。
魅力は、「研修体制の充実」と「発言のしやすさ」だと思います。
今まで働いた福祉の会社では一番、研修体制が整っていると感じます。講師の上田さんがいろいろな資格をお持ちで、研修内容も豊富ですが、支援で悩んだときに、自分に合う解決策や、一助になる研修があることは、SHIPならではの魅力だと感じます。
他に、今受講中ですが、サビ管を目指す場合はサビ管候補者研修がありますし、専門学校の学費や参考書の購入の補助など、ワンランク上の支援者になるため応援してもらえていると感じます。
「研修は業務時間中にやってはダメ」という職場もあったのですが、SHIPでは研修も勤務時間として認めてくれるので、すごく学びやすい環境だと思います。
また、研修の事例検討会で、他の事業所と意見交換する機会があります。前職までは事例検討をする時間を取ることはなかなかできませんでしたし、あっても職員が自信を持って意見してくれないと感じました。
SHIPはファシリテーションがみなさん上手で、いろんな方が自分の意見をしっかり発信できていて、素晴らしい風土だと感じています。
――働きやすさはどうですか?
武田
今までの会社で、一番働きやすいです。
勤務時間や年間休日は満足していますし、上司が残って帰りにくい職場もあると思うのですが、上司から率先して通常通りに退勤されるので、部下の僕たちも帰りやすくなっています。
給料は、今は前職と変わらないですが、主任世話人、サービス管理責任者になっていけばかなり上がると思います。
個人的には人事考課がモチベーションアップにつながっています。今までの会社は人事考課自体がなく、賞与も決まっていました。
前職と比べて、査定で賞与が変動するピリピリ感もありますが、自分の支援とその結果を振り返り、今後どうするか考える、自分自身のスキルアップの機会になり、すごく良いと感じます。
――自分自身の課題、職場の課題を教えてください。
武田
課題は、自分の考えや取り組みの言語化です。
前職までは、支援の意図をあまり意識せず、流れでその都度対応する感じで、質問されると言葉に詰まることがありました。
ラファミドでは半期に一回、効果検証の機会があり、具体的な意図をもって支援に取り組めていますが、元々話すのが得意ではないので、もっと説明できるよう、意識していきたいです。
職場の課題は、障害者の高齢化問題への対応だと思います。
滞在型のグループホームは、利用者様の終の棲家にできる一方、高齢化は避けて通れません。
現在60代の利用者様も多いため、5年後・10年後を見据えたとき、ハード面では、浴室の段差や、手すりの不足などへの、施設のバリアフリー対策が必要です。ソフト面では、僕自身も含め、介護経験がない職員もいるので、介護技術も磨く機会が必要になると思います。
高齢者施設への転居などによる環境の変化が病状の悪化につながる可能性もありますし、やっぱり住み慣れた環境で生涯暮らしたい気持ちがあると思うので、その実現のために検討する余地はあると感じています。
適切な支援のため、いろいろな経験を積み重ねたい
――今後の目標を教えてください。
武田
目標は「サビ管になり事業所運営に携わりたい」、それと同じくらい「いろいろなことができるようになりたい」と考えています。
具体的には、社会福祉士、介護福祉士を取得し、知識を増やしてスキルアップしたいと思います。
また、SHIPは就労継続支援B型、就労移行支援、計画相談、生活介護、放課後等デイサービス、重度グループホームと多岐にわたる事業を運営しているので、いろいろな事業を経験したい気持ちもあります。
グループホームと就労支援、計画相談など、複数の支援サービスを組み合わせて利用者様の生活が作られていると思うので、一つだけより、いろいろな事業所を経験してつながりを知っておくと支援者としてプラスになると思います。
その先の最終的なゴールとして、どんな事業所でも、適切な支援を提供して、障害の重さに関わらずその方らしく地域生活ができるように支えていきたい、その気持ちはどこでも変わらず持ち続けていけたらと思います。
SHIPは年に1回ジョブローテーションやアンケートがあり、他の事業所を見てみたいと思ったときに、まず希望を聞いてもらえるので、すごく良いと思います。
――どんな人がSHIPに向いている、どんな人と働きたいと思いますか?
武田
グループホームは24時間365日稼働しているので、自分だけで全て何とかするのは不可能です。個人プレーではなく、チームプレーが重要なので、協力的な方と一緒に働きたいと思います。
僕自身の経験を振り返ると、気持ちに余裕がある方が向いているのではないかと思います。
福祉の仕事を始めた当初は特に、支援が上手くいかないとマイナスな感情が出て、利用者様への口調も強くなってしまうことがありました。当時は知識・経験不足で、支援の引き出しが少なく、気持ちにも余裕が持てなかったせいだと思います。
また、利用者様を信じることはもちろん大事ですが、信じ過ぎてしまうと上手くいかなかったときに落胆も大きくなり、虐待につながってしまいかねないと、今までの経験からも感じています。
利用者様を適度に信じつつ、失敗もその方の経験として捉えるスタンスを持つことで、気持ちに余裕を持つことができると思うので、それを実践できる方が向いているのではないかと思います。
武田さん、ありがとうございました。
自分自身についても、事業所についても、将来を見据えて取り組んでいることを感じました。
今の時代だからこそのグループホームでの課題・問題も聞かせてもらえましたね。
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障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士