【職員インタビュー】「理念」への共通の想い『EXP立川』チームのみなさん

以前、SHIPのスタッフのみなさんにインタビューをさせてもらいましたが、それぞれ個性的な中、みんなに共通していることがあったので、紹介させてもらいます。

共通点とはズバリ「理念」です。

企業の理念などは、研修で習うけどそれっきり、ただあるだけ、ということにもなりがち。

SHIPにも企業理念、事業部理念などありますが、現場のスタッフは果たして意識しているのか?と聞いてみたら、予想以上に熱い答えが返ってきました。

 

【SHIPの「理念」とは】

「理念」とは「こうあるべきという根本の考え」。まずSHIPの理念を簡単にご紹介します。

法人理念は「使命」「挑戦」「価値」の三つがあります。くわしくはコチラ→法人概要 | 社会福祉法人SHIP (swsc-ship.com)

障害事業部理念は「支援される部分を少なくし、自分でできることを増やすこと」「障害の部分は社会資源を活用して補完し、自立へと導くこと」です。

 

EXPのサービス管理責任者である奥主さんは、企業理念とEXPの事業所理念について熱く語ってくれました。くわしくはこちらのインタビュー記事をご覧ください。↓

【職員インタビュー】同業他社から転職し「やりたい支援」を実現中! 『EXP立川』奥主さん

 

奥主さんは、内部研修でもよく理念を伝えており、自分以外のスタッフも理念にもとづいた支援を行っていると言っていました。

実際、他のスタッフの「理念」への想いはどうなのでしょうか…?

SHIPの職員3名の個別インタビューの際に「理念」について個人で特に意識していることなどを、自由に答えてもらいました。それぞれのインタビュー記事とは別に、ここで紹介させていただきます。

 

 

【常に挑戦し、利用者様の幸せを目指したい】

――福祉は未経験、営業職からの転職者で、EXP立川のリワーク・トレーナーの奥山さんに聞きました。

 

奥山:法人理念の中では、特に「挑戦」を意識していきたいと思っています。

就労移行支援のプログラムもそうですが、営業職から転職し、入社してからは何もかもが初めての世界なので、すべてが「挑戦」だと思っています。何か新しいことを始めるというのは刺激にもなるし大事だと思うので、意識的にやっていきたいことです。

また、「使命」「みんなで幸せになる社会づくり」はもちろん大事だと思っています。言葉のとおり、ここで働いている以上自然とそこに向かうと思います。

「価値」「みんなが納得する成果を価値基準とします」ですが、就労移行支援のサービス事業所で働いている以上、利用者様の就職が決まるのが一番の価値基準かと思います。「利用者様の幸せ」を考えて支援していく中で、法人理念は付随的に意識はできていると思います。

 

 

奥山:事業部理念だと、ひとつめの「支援される部分を少なくし-」というのは、常に意識しています。

利用者様にこちらから「こうしたらいいですよ」と答えを出すのは簡単ではあります。でもそれあえて言わず「では、どのようなことならご自身でもできそうですか?」など、こちらから投げかけで終わるといったことを意識的にしています。ご本人が主体的に考えることが、「自分でできることを増やす」第一歩だと思います。

またその上で、ご本人の考えと支援する側の考えとのすりあわせはあくまでしっかりやっていく必要があると考えています。

 

奥山さんの個別インタビューはコチラ↓

【職員インタビュー】未経験でもスキルアップできる !営業職から転職『EXP立川』奥山さん

 

 

【理念のもと、学べるのがSHIPの魅力】

――福祉職からの転職者で、3人のお子さんのシングルマザーでもある野口さんに聞きました。インタビュー当時はEXP立川の主任トレーナーで、現在はラファミド八王子(グループホーム)の世話人をされています。

 

野口:SHIPの理念が好きです。そして理念のもと、支援技術をしっかり学べることが法人の魅力だと思います。

前職の福祉施設でも研修などで理念を学びましたが、たいていその時点で終わりなんですよ。忙しい業務の中では、学んだ先の「実践」がなくて終わるところが多いのではないでしょうか。

SHIPでは内部研修で学んだ支援技術を実践で活用して日々試行錯誤して活用していると思います。そして支援に迷ったときに共通の「理念」と照らし合わせて、どの支援方法を活用したらいいのかをスタッフで一緒に考えて学ぶ場があると思います。実践したい、学びたいと思えて、実際にできるのがSHIPの魅力です。

 

 

野口:SHIPに入ったとき「理念」や「求める人物像」をみんなで唱和したのですが、まずは事業部理念である「自分のできる部分を増やす」ことからスタートだと感じました。

特に母親色(母性)が強い私は、よかれと思ってつい勝手にやってしまうことも多く、それが利用者様のできている部分・できそうな部分を奪っているという理念とは反対の結果になってしまうこともありました。

だから自分の行動に対して「これからやろうとしていることは、利用者様のできることを取ってしまわないか」「利用者様自身ができるようになるにはどんな関わり方がいいのか」と、常に考えるようになりました。

理念が支援に困ったときの一度止まって考える指標になっています。

 

法人が職員に求める人物像にも「理念のもと、自らの意見を発信し、合議の上、最良の方向を導き出す」とあります。日々職員ひとりひとりが切磋琢磨して、常に考えて悩んで、支援技術を学び、支援を充実させていくことができたら、企業目標である「日本一の社会的企業」になれるかもしれないと思います。

 

野口さんの個別インタビューはコチラ↓

【職員インタビュー】タスク管理で気づいた「子育てと仕事の両立」のコツとは? 『EXP立川』野口さん

 

 

【福祉の経験の中で見えてきた「引き算」の支援】

――前職はスクールカウンセラー、SHIPの人材育成担当である兵働さんに聞きました。

 

兵働:SHIPの理念の中で自分の支援上の考え方と最もリンクしている部分は、事業部理念にある「支援される部分を少なくし-」ですね。

自分としてはすごくしっくりきて、新人職員研修、事業所内での職員研修でも、よく伝えるようにしています。

これまで、福祉の場でいろんな方の相談に乗り支援をしてきましたが、その中で、支援者が手をかければかけるほど、結果的にはダメになってしまうという事例をたくさん見てきました。

厚い支援をかけるほど、利用者様や周りの方は喜んでくれ、私たちもやりがいが出ます。しかし一見、すごくいいことをやっているはずなのに、結果的に利用者様をどんどんダメにしてしまうのです。自分もそうだし、まわりの他の支援者の事例を聞いていても、別に誰も悪くないわけですが「結果」だけを見るとよくない方向に進んでいる、ということはけっこうありました。

支援や家族関係でもそうですが、手厚い関わりは、それによって利用者様のできる部分がそがれてしまうことになりがちです。手厚くしてはいけないわけではないのですが、利用者様が自立しよう、社会に出てやっていきたいとなったときに初めて「本人にとってはダメだった」と気づくのです。

みんな悪くはないのに、ご本人が自立できていない状態だけが残ってしまい、困るのは結局ご本人で、でも手厚くしてもらったから当たる場もない…。不条理ってこういうことかなと思います。そういう支援は今後していきたくないと思っています。

 

 

兵働:そんな経験から、「支援」は実は引き算かなと思っています。「これもあれも」と足していくのではなく最初の時点でご本人にとって必要最低限のラインを見極めて、自分たちが少しずつ手を引いていくのが一番効果的で、いい支援ではないかと思っています。

そんな「支援される部分を少なくする」ためには、アセスメントやスキルが必要だと強く感じます。

まずアセスメントでしっかりその方の状態を把握して、必要最低限の部分を考え、その中で、最大限の支援の効果を引き出すための、具体的な介入、技法を考える必要があると思います。

スタッフ全員がそれをできるように、SHIPはアセスメントや内部研修に力をいれています。

 

 

兵働:また、一般的には障害者を「守ってあげる」ことがいいことのように思われがちですが、そうじゃないという意識でやっていくことが中長期的に見ると利用者様のためにもなりますし、ひいては自分たち支援者のためにもなると思います。

手厚くし過ぎた結果は利用者様にも影響するのですが、私たちも「たくさんやってあげたのに何だったのだろう」とネガティブに考えてしまいます。

私自身にも「たくさんいろんなことをやってあげたのに、ふたを開けてみるとあまり進んでいない」といった経験から、もしかしてこれは自分のやり過ぎが原因かな?と気づくこともありました。でも、必死に取り組んだ分、すごく心にガクンとくるというのも事実です。

そんな経験から、利用者様と支援者お互いを守るためと言うか、いい結果を出すために「支援される部分を少なく」し、ご本人の限界を広げて、それ以外の部分はいろんな福祉サービスやそれ以外の資源を使うのが一番良いのではないかと思っていました。SHIPの理念は自分の考えにまさに通じると感じています。

 

兵働さんの個別インタビューはコチラ↓

【育成担当インタビュー】成長したい人がチャレンジできる職場兵働さん

 


 

みなさん、熱い想いをありがとうございました。

スタッフそれぞれの考えや思いがありますが、全員の中に理念にもとづく共通した意識が感じられました。だからこそ、SHIPの事業所ではスタッフの個性や個々の意見を活かしながら、同時にチームとしてまとまって支援を行えているんだなと、納得です。

「理念」は、私もラファミド八王子に勤務していたころ、スタッフミーティングなどでみんなで唱和していました。こういった取り組みによって理念の存在を一応は知っているわけです。

もっと大切なことは、ただ知っているだけでなく、中身のある一人ひとりの解釈として共有されていることで、SHIPではそれが進んでいると思いました。

理念の他にも、今回も少しでてきましたが「法人目標」「求める人物像」「職員への期待」も共有されています。そちらもまた紹介させていただきたいと思います。