MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)
8週間トレーニングを実体験!
今回は久々に真面目な話です。
福祉の仕事にたずさわって22年ほど経過しました。
今まで知識や経験の不足によって、適切に支援できなかったり、管理職になってからはちゃんと教えられなかったりで、みんなに「申し訳ないことをしたなぁ・・・」と、エグめの罪悪感に襲われてきました。
罪悪感が原動力なんて動機は不純ですが、それもあって『真に役立つ支援サービス』とはなにか? について探究の日々を続けられました。
そして今回は『MBSR:マインドフルネス・ストレス低減法』についてブログを書きたいと思いました。
MBSRは「毎日45分以上の瞑想エクササイズ」を「8週間」毎日続けておこなうのが基本のプログラムです。
何だかんだ忙しい中、長期に渡る取り組みになるので継続できる自信はありません。
でも、その効果の裏付けは、たくさんの論文や書籍からも周知の事実です。
MBSRは『真に役立つ支援サービス』だと思っています。
あと(DBT(弁証法的行動療法)も『真に役立つ支援サービス』だと思っています。
あと、動機づけ面接法も。
あと、・・・(ここら辺にしておきます)
そしてこれらを、いずれはSHIPで提供できるサービスにしたいと考えています。
でも、先ほどお伝えした通り、取り組むこと自体が大変なため、「MBSRやDBTを一緒に学んで広めていきたい!」という人は少ないだろうと思います。
ですから、まずは自ら取り組んでみて、「大丈夫!できる!」という前例をつくるつもりで頑張っております。
興味のある稀有な人がいましたら、ぜひお声かけいただきたいです。一緒に切磋琢磨、勉強を進めていくパートナーになりましょう。
さて、今回のブログですが、メチャクチャ長くなりますので、興味がない人はここで読むのを止めておいてください。
「MBSR・・・? なにそれ、興味津々」って人はぜひ読み進めてくださいませ。
MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)とは?
マサチューセッツ工科大学大学院 博士課程(1964ー1976)出身のジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn)博士によって開発された瞑想プログラムのことです。
カバット・ジン博士は1966年頃より瞑想をおこなっていたそうです。ケンブリッジ禅センターのスン・サン(禅僧)から禅を教わり、それをまた教え、ハーバードスクエアの協会ではヨーガを教え、アスリートに対して瞑想やヨーガ/ストレッチのワークショップをおこなっていたそうです。
そんなカバット・ジン博士が1976年に、ある2週間のヴィパッサナー瞑想の研修を受けていたときのこと。研修10日目のある体験「10秒くらいの幻覚体験)を通して、彼のこれまで学んできたヨーガや瞑想を西洋の一般人にも広めることが「価値のある仕事」になると確信したそうです。
そして1979年の秋に「ストレス低減・リラクセーションプログラム」と称して仕事をはじめ、後にマサチューセッツ大学医学部で「ストレス低減クリニック」と改称されました。
以降、これらの仕事の取り組みは「マインドフルネスに基づくストレス低減法」(Mindfulness-Based Stress Reduction:MBSR)と呼称されるようになったそうです。
現在、カバット・ジン博士はマサチューセッツ大学の名誉教授となり、世界を飛び回っているそうです。
参考:マインドフルネス瞑想ガイド 2013年 北大路書房
マインドフルネスに取り組むときの7つの態度
マインドフルネスに取り組むときは、7つの態度をこころに留めながらエクササイズをおこないます。
1,ジャッジしない:評価や判断をしないこと
2,気長に待つ:良くしようと焦らないこと
3,フレッシュな目:初めて見るような目で見ること
4,信頼する:自分の気づきを信じること
5,頑張りすぎない:やるモード(Doing)から、あるモード(Being)へ
6,受け容れる:物事のありようを自覚して、賢い関わり方を見つけること
7,手放す:思い通りにしたいと執着せず、あるがままにしておくこと
MBSR 6つの技法
MBSRは6つの技法からなっており、各45分ずつを1日に1つ、または2つおこなって、それを8週間 続けることになります。
基本的にはそれぞれがホームワークで実践し、トレーナーより週1回のチェックを受けることになります。
治療法というよりも「自己研鑽」の方法であるため、一生続けていくものだと言われています。
<MBSR 6つの技法>
1,咀嚼瞑想(そしゃく)
2,呼吸法
3,ボディ・スキャン
4,ヨーガ
5,静座瞑想
6,歩行瞑想
MBSR の効果
私がMBSRに興味をもったのは「小児期トラウマがもたらす病」という本を読んだことがはじまりです。
一番興味深かったのは、
「深呼吸して酸素を肺に吸い込むと、その酸素が全身を巡って細胞に入り込み、身体に生きる力をみなぎらせる。神経を集中させてゆっくり吸って吐くうちに、働きの鈍った副交感神経も目覚め、活発になる。病院では、精神安定剤や抗うつ薬などの交感神経系の働きを抑える薬は数多く処方されるが、副交感神経系を高めるための薬はない。最も効果があるのは呼吸だ。」という箇所。
※引用:小児期トラウマがもたらす病
MBSR8週間のプログラムを受けることの具体的な効果は、
・ストレス反応や炎症ホルモン値が減少する
・不安症、うつ病、PTSDの症状が改善する
・ストレス管理に関連する海馬の灰白質の密度と濃度の上昇がみられる
・脳幹の灰白質が増えてストレスホルモンの分泌を調整する
・慢性疼痛や高血圧などの疾患からくる身体症状や心理的問題が軽減する
などなど、調べれば調べるほど、その効果の高さを知ることができます。
『トラウマで損傷した脳を修復する効果もある』とのことで、「これは実際に体験するしかない!」と速攻でMBSRのエクササイズを申込んでしまいました。
参考:小児期トラウマがもたらす病 著者:ドナ・ジャクソン・ナカザワ 2018年 パンローリング
実際にMBSRの8週間プログラムを体験(1週間ごとの様子)
<1週目:セッション>
初めてのセッションでは、レーズンエクササイズ、ボディスキャンを中心に体験的なエクササイズを受けました。腕を伸縮させるエクササイズも少しありました。体験はグループでシェアしながら、気づきを深める流れでした。
セッション終了後、ホームワークを出されて1週間後にチェックを受けることになります。
<1週目:ホームワーク>
5つのホームワークが出されました。
①ボディスキャン(毎日45分)、②咀嚼瞑想(すべての食事、毎食の最初の5分だけでもOK)、③呼吸や身体感覚への気づきの時間をとること、④読書とマインドフルネスの考察、⑤9つの点のエクササイズ
ボディスキャンは身体の各部位に対するイメージに注意を向けるエクササイズ。なかなか難しいです。
私の場合、呼吸やボディスキャンのような静のエクササイズでは、手術痕へ注意が引っ張られてしまいます(肝臓移植手術による肋骨の欠損、臓器の違和感)。そのため、マインドフルネスの7つの態度のうちの「ジャッジしない、頑張りすぎない、受け容れる」に対する気づきを持ちやすかったです。
そんなわけで、ボディスキャンをはじめる前は嫌でたまらないのですが、少しずつ注意を一か所・一か所、身体の部位へ向けられるようになったり、手術痕の状態を評価せずにいられたり、でもどうしようもない違和感に襲われて不快になったり。ボディスキャンではそんな状態をくり返すことになりました。
1週目のホームワークは、朝早く起きて何とか課題をこなすことで精一杯・・・という印象でした。
<2週目:セッション>
ホームワークの体験のシェアからスタートします。一緒に学ぶメンバーたちも忙しいのは同じ。そんな中でも何とか実践できたり、できなかったり、というエピソードを共有して少しホッとします。また、気づきの感じ方は人それぞれで、「いろんな人がいるなぁ・・・」と思えたり、「この人はすごいなぁ・・・」「自分はダメだなぁ・・・」と比較するような思考が出てきたりもします。
呼吸(アンカー)瞑想、観察の瞑想、ボディスキャン、肩を伸縮させるエクササイズ、これらを体験的におこないながら、また気づきをシェアしました。
ちなみに、毎週金曜日の19:45~22:15までの2時間半のエクササイズです。これが8週間続くので、毎週参加するだけでも結構しんどいです・・・
<2週目:ホームワーク>
今回も5つのホームワークが出されました。
①ボディスキャン(毎日45分)、②呼吸瞑想(毎日10分)、③うれしい体験日記(できごと・思考・感情・身体反応など)、④日常的なマインドフルネス、⑤日常的な呼吸への意識
ボディスキャンは2週目にもなると慣れてしまい、エクササイズ中に寝てしまうこともありました。マインドフルネスの7つの態度を振り返ってみると、「フレッシュな目」の態度が不足していることに気づきます。DBTでは瞑想中、『半眼』を薦められていました。眠らないように、かといって集中しやすいように、半眼が薦められていたのを思い出しました。
日常的にマインドフルネスを意識したり、呼吸を意識することは、思いのほか難しいです。頭の中は『効率』を求めて『焦って』いるようです。一方、面倒ながらも丁寧に食事をしたり、化粧水をゆっくり浸透させたり、階段をゆっくり一段ずつ登ったり、ということをしてみると、「こんな香りがするんだなぁ・・・」「足はこうやって動いているんだなぁ・・・」など気づきがたくさんあり、ちょっとだけですが幸福感が高まっていることに気づきました。
<3週目:セッション>
この週は参加者が少なかったです。『忙しいのは自分だけではない』と感じられるだけでもストレス値が下がるのは不思議な感覚です。これは『共通の人間性』というセルフコンパッションの効果です。ストレスの状況下では「苦しんでいるのは自分だけ・・・」と認識しやすく孤独に陥りやすいという側面が強いため、自分以外にも不幸な人を目にすると不思議と癒されてしまうという現象です。
さて、セッションはホームワークのシェアからはじまり、呼吸瞑想、ボディスキャン、マインドフルネス・ヨーガ(寝ておこなうムーブメント)、これらを体験的におこない、また気づきのシェアをしました。
マインドフルネス・ヨーガは自分に合っている気がします。呼吸やボディスキャンでは、どうしてもお腹の手術痕に注意が引っ張られますが、ヨーガの動きで身体に伸縮を加えられると、癒着した臓器が剥がれる感覚が得られて、違和感から気持ちよさに変わりました。ただ、好き・嫌いなどと「ジャッジしない」態度も大切なので、手術痕に対しても「フレッシュな目」で観察&関与していく必要がありそうです。
<3週目:ホームワーク>
今回は4つのホームワークが出されました。
①ボディスキャン(45分)or 寝て行うヨーガ(45分)を1日交代、②呼吸瞑想(毎日20分)、③不快な体験日記(できごと・思考・感情・身体反応など)、④日常生活での瞬間瞬間の体験の自覚
瞑想生活にもかなり慣れてきました。5:30~6:30の間でボディスキャン or 寝て行うヨーガ、22:00~23:00の間で日記と呼吸瞑想、日常的にマインドフルな時間を増やす。このようにマインドフルネスな生活が馴染んできました。
3週目はマインドフルネスに取る組むときの態度を意識しながらエクササイズしました。
たとえば、「ジャッジしない」という態度に対して、瞬間瞬間で気づくことは難しかったりします。だから、「あ~、今、ジャッジしてるなぁ~」といった具合に、「やってしまっているなぁ~」と呟いて気づくようにしました。
その他、「焦っているなぁ~」「良くしようとしてるなぁ~」「頑張り過ぎてるなぁ~」「賢くないなぁ~」「執着してるなぁ~」といった具合に、まずは自動操縦の自分に気づくことを意識しました。とはいえ、まだまだ初心者同然なので気づける回数は少ないです。
<4週目:セッション>
今回もホームワークのシェアからスタートです。「不快な体験日記」をメンバーと共有し、その時の思考・感情・身体反応を伝え合います。自分以外にも不快な体験をしている人がいることを知ると、先週同様に『共通の人間性』というセルフコンパッションの効果を感じることができます。話し終えた後は、みんな笑顔になっていたのが印象的でした。
この後、呼吸瞑想、身体の簡単なストレッチ、歩行瞑想、ストレス場面の日常的な反応とマインドフルネスをすることの意味をシェア、といった内容のエクササイズをしました。
この週はストレスとストレス反応について学びました。すでに知っていることばかりで正直なところ面白くなかったのですが、マインドフルネスの態度「フレッシュな目」を思い出しました。『初めて見るような目で見ること』はとても大切なので、あらためて自分や他の人たちのストレス場面とその反応に興味を向けて取り組むようにしました。
<4週目:ホームワーク>
今回は4つのホームワークが出されました。
①ボディスキャン(45分)or 寝て行うヨーガ(45分)を1日交代、②呼吸瞑想(毎日20分)、③「職場におけるマインドフルネスとその技術:ストレスを低減する21の方法」の朗読、④ストレスに対する自動反応パターンに気づく、⑤心が固まったり閉ざされている瞬間に気づく
寝て行うヨーガは、かなり自分に合っている気がします。音声の教示に従って身体を伸縮させ、限界のところでキープしながら呼吸するエクササイズなのですが、自分の限界を知ることで、その後にどう行動するかを自分の選択で決めることができます。また、日毎にその限界点が変わっていくのが分かります。
「ストレスを低減する21の方法」は、仕事の日にするちょっとした瞑想になります。自分は車通勤ということもあり、宿題の内容とも合致したので、車に乗り込む前後の呼吸瞑想、赤信号での景色の観察の瞑想・身体感覚の瞑想、制限速度以下での走行などを実践しました。とにかく生活のスピードが落ちて、焦ることが劇的に減った印象です。
ストレスへの自動反応パターンへの気づきについては、毎日のちょっとしたストレス場面を切り取って、CBT(認知行動療法)でいうところの「認知行動モデル」に当てはめて書き出してみました。ストレスが増大しているときは、やっぱり妄想の世界と現実の世界がゴチャゴチャになっていることが分かります。ただし、毎日の瞑想のお陰もあって、引きずらなくなっている自分を感じることもできています。
<5週目:セッション>
今回、開始時刻の19:45に間に合わず焦りました。でも参加者の方々はみんな忙しいようで、毎回のように遅刻者が発生しています。みんな社会人ですので仕方がないですよね。
さて、今回は静座瞑想(45分)を初めて体験しました。
20分程度の呼吸瞑想でも「長い!」と感じていたので、(45分も持つか・・・?)と心配していました。結果としては、まったく問題ありませんでした。「呼吸に注意を向けるように」「身体と環境と触れている面に注意を向けるように」「聞こえる音に注意を向けるように」などと、教示をもらえるので大丈夫でした。
このようにMBSRの瞑想は、基本的に録音データやCD音源などの『教示』に従って瞑想をおこなうので、誰でも実践可能なことが特長だと思います。全部を自分ひとりでしていくのは難しすぎますからね。
<5週目ホームワーク>
今回は4つのホームワークが出されました。
①静座瞑想(45分) or ボディスキャン・寝て行うヨーガ・立って行うヨーガ、②ストレスフルな状況に自動反応する瞬間に気づく、③困難なコミュニケーションの記録
この週はストレスな出来事が多く、思考に引っ張られて音声データの教示に注意を向けられず、なかなか集中して取り組むことが難しかったです。それでも何とか続けていると、呼吸や身体感覚を通して、今この瞬間に戻ってくることができるんだなぁ・・・と感じることができました。
MBSRのマインドフルネス瞑想では、音声データ等によって、しっかりと『教示』してもらえるので、どんな人でも取り組みやすいと感じます。
一方、4.5年前に参加したDBT(弁証法的行動療法)のマインドフルネスでは、どちらかというと曝露中心、まずは体験ありき、その後に体験のシェアをしっかり実施。という構成でした。
どちらが良い・悪いという話ではないのですが、ポリヴェーガル理論の視点から考えると、やはり『安全』に配慮された環境のもとで瞑想できるよう細心の注意を払うことと、クライエントにはちゃんと『耐性領域』の中でおこなってもらうこと。この二つのポイントを押さえたほうが効果的だと感じています。
<6週目:セッション>
結論から言うと、この週のセッションは全く集中できておらず、内容がほとんど入ってきませんでした。
理由は、人間関係で心がざわついていたからです。セッションに集中したいのですが、そのことばかり頭に浮かんで妄想の世界に引っ張られてしまいました。まさにマインドワンダリングの状態です。今ここに意識を向けるためにもマインドフルネスのエクササイズは大切ですね。まだまだ未熟です。
そういえば、「マインドフルネスに取り組むときの7つの態度」の中に『頑張りすぎない』がありました。そう言われても心の底から理解して実践するのは難しいものです。少し角度を変えて『いつも頑張っている自分を認めてあげよう!』というカタチでとらえ直してみると少し理解しやすくなりました。
そうそう、そういえば、ボディスキャンの最中にも、身体の各部位に対して、「オレの眼。いつも頑張ってくれてありがとう」「オレの首と肩。ストレスを受け止めてくれてありがとう」 こんな感じで『頑張っている身体の部分部分を認めてあげる』ことで、間接的に頑張っている自分を認められることに気づきました。
STOPとRAINというマインドフルな対応も学びました。
STOPとは、①Stop(立ち止まる)、②Take a breath(呼吸する・アンカー)、③Observe(観察する)、④Proceed(次の行動を選択する)
RAINとは、①Recognition(気づく)、②Acceptance(受け入れる)、③Investigation(探索する)、④Non-identification(同一化しない)
ストレスを感じているときに自動操縦状態にならないように、STOPとRAINをすることで『気づき』を得て、マインドフルな対応をしていきましょう。という教えでした。
<6週目ホームワーク>
今回は4つのホームワークが出されました。
①静座瞑想(45分) or ボディスキャン・寝て行うヨーガ・立って行うヨーガ、②五感から取り入れているものを意識する、③マインドフルな会話
この週は仕事が忙しく、宿題をこなすこと(マインドフルネスの時間を取ること)が正直なところ難しかったです。忙しくなるほどストレス過多になるので、マインドフルネスをより実施すべきなのですが、このバランスが本当に難しいと感じました。
宿題の『五感から取り入れているものを意識する』では「触覚の重要性」に気づきました。例えば、コーヒーカップの温かさ、ブランケットの温かさなど、温かいと感じる触感は安心感と直結するので、こころの安定にもつながるということを実感しました。
その他、わたしにとっては嗅覚も重要だと感じました。瞑想をすることであらゆることにゆっくりと関わるようになると、本当に『気づき』が増えてきます。コーヒーの香りやアロマの香りには、とても癒されて、嗅覚もまた、こころの安定につながることを実感しました。
<One Day エクササイズ>
9:00~16:00(昼休憩あり)のブッ通しのマインドフルネス瞑想体験。MBSR8週間の中で必ず設けられている『One Day エクササイズ』の日でした。
通常のメンバー以外にもはじめましての参加者がおり、軽めに自己紹介をした後からすぐにエクササイズに入ります。当日はメモ禁止だったので、何をしたかは思い出せないのですが、ボディスキャン、寝て行うヨーガ、立って行うヨーガ、静座瞑想、山の瞑想、慈悲の瞑想、歩行瞑想、など、とにかく瞑想を繰り返し続けます。まさに瞑想1000本ノックのような状態でした。
この日は、引きずっているストレスな出来事があって、そのことが頭をめぐって脳ミソにネガティブ思考が焦げ付いていました。なんでネガティブはへばり付いてしまうのでしょうか・・・。でも嬉しいことに、エクササイズの終了後には、見事に剥がれ落ちました!
この日、とくに気づきが大きかったのは『山の瞑想』と『慈悲の瞑想』をした時のことです。山の瞑想は、自分が山になったつもりで座ります。大地にしっかり根付いた堂々とした自分をイメージします。この時のわたしは「富士山」になり切って、多少の人間関係の不和ごときでは悩まされない堂々とした自分をイメージしました。
その後、慈悲の瞑想をしました。慈悲の瞑想では、まず自分への慈しみを与え、それを自分の大切な人へ、そしてすべての生きとし生ける者へと広げていきます。最後に思い切って、ストレスの原因となっている苦手な人へも慈悲を向けてみたところ、自分の中にあったモヤモヤの霧がスゥ~っと晴れたような感覚を得ました。
この日のような瞑想ずくしの一日は、これから経験することも少ないでしょうけど、本当に貴重な経験でした。どんな人にも一度は経験してみることをおススメしたいと思っています。
<7週目:セッション>
この日は少し遅刻しての参加。仕事の後に参加するので、どうしても間に合わないときがあります。でも、安心して参加させてもらえるのは、その後に集中して取り組むためのポイントになります。「相手の事情にできる限り寛容である」という態度は、安心・安全かつモチベーションUPにもつながるということを経験したので、私も同様に寛容な態度でいられるようにと心の底から思いました。
この日のはじめのセッションは「自分の身体が求めている動きをする」というものでした。
ちょうど息子が新型コロナウィルスに感染してしまったため、自分も何となく息苦しく感じていたことに気づきました。そのため、自分の身体が求める通りに、窓を開けて、大きく手と胸を広げて、外の空気を深呼吸で取り込みながら、コリを感じる肩甲骨をゆっくり回してみました。このように身体のお知らせに気づくようなエクササイズを日常に取り入れることは、ストレス低減にとても有効だと感じました。
座る場所を変えていくという瞑想も体験しました。慣れ親しんだ椅子に座る、行ってみたい場所で座る、良さそうな場所に座る、不快そうな場所に座る。このように場所を変えながら座ってみて、その時々の身体感覚や思考や感情を点検していきました。
不快そうな場所に座ったときに、なぜか足をギュッと抱えて座っている自分に気づきました。そこで、あえて別の行動(足を伸ばして)をしてみると、たちまちリラックスできたという経験はとても新鮮でした。
その他、ホームワークで出された『五感から取り入れているものを意識する』のシェアをしました。思えば日頃は、視覚から余りにもたくさんの情報を取り入れていることに気づきました。だからあえて「青空を見る」など、自分の視覚を情報から遠ざけてあげる必要があると発見しました。一方、味覚・嗅覚・触覚には意識が薄かったように思います。マインドフルにペースを落とすことで、味覚・嗅覚・触覚を意識的に働かせてみると、かなり多くの発見がありました。とくに「温かさ」が感じられる触感はとても心地よく、自分にとって大切なアンカーになりそうだと気づきました。
<7週目ホームワーク>
今回は4つのホームワークが出されました。
音源による教示なしで、①静座瞑想(45分) or ボディスキャン or 寝て行うヨーガ or 立って行うヨーガ、②五感から取り入れているものを自覚する、③日常の中での気づきを保つ
いつもの45分間の瞑想チャレンジは何とかかんとか実践していました。
しかし『慣れ』とは怖いものです。とくにボディスキャンは実施回数が多いためか、慣れてしまって、途中で寝てしまう事態に・・・
こんな時こそ『マインドフルネスに取り組むときの7つの態度』が大切です。その中でも『フレッシュな目』は大切ですね。どんな出来事でも「初めて見るような目で見る」という態度を持つことで、同じ事柄からも新しい発見を得ることができます。マインドフルネスの実践をくり返す中で、あたらめて日々を大切に生きていくことの大切さに気づかされます。
そういえば、この週は『アサーション』の実践もホームワークに入っていました。アサーティブコミュニケーションとは自分も他人も尊重したコミュニケーションのことです。これ、DBT(弁証法的行動療法)でも取り入れられていましたし、MBSRにも取り入れられていました。人間関係を円滑にするスキルが、どれだけストレス低減に役立つのかということを腹の底から感じ取っています。
<8週目:セッション>
最後の週のセッションです。
ここまでのマインドフルネスの取り組みの中で『キーアイテム』になっていたモノを紹介し合いました。私の場合は、『触覚がアンカー』になることに気づくことができたので、以下のアイテムを紹介しました。
①クッション・まくら・ブランケット、②Curel(ディープモイスチャースプレー(化粧水))、③フェイスクリーム(無印良品)、この3アイテムがキーアイテムとなり、いつも私のアンカーになっていたような気がします。
クッション・まくら・ブランケットは、毎度の45分瞑想の取り組みの際に、お腹の上に置いて落ち着く感触を味わっていました。化粧水とクリームは、毎朝と毎晩に、肌に浸透する感覚を味わっていて、すごくマインドフルになる感覚を持つことができていました。
その他、小グループに分かれて問いかけし合うセッションがありました。
問いかけの内容は、「あなたは、このMBSRの体験を通して、どんなことに気づきましたか?」と何度も質問されるものです。
相手からの質問を、少し目を閉じながら五感で感じ取って、そこから回答をゆっくり考えていく。このような姿勢も8週間のMBSRの体験を通して身についてきたものです。
はじめる前は8週間も頑張れるのか不安でしたが、今では一緒に学んできたメンバーとの別れを惜しんでいます。とてもよい学びの機会でした。
<8週目ホームワーク>
最後の週は4つのホームワークが出されました。
①静座瞑想(45分) or ボディスキャン or 寝て行うヨーガ or 立って行うヨーガを続ける、②MBSRの振り返りと終了後の練習計画を立てる、③他のクラスやセミナー、リトリートに参加する、④初日に配布されたハンドブックを読み返す
毎日の45分間の瞑想はサボることが増えてきました。反省しないといけません。
そういった意味でもMBSRのグループでおこなう集団の力はとても貴重だったと振り返っています。
今後も毎朝45分のエクササイズは続けていくつもりですが、無理はせず、一日の中に少しずつでも瞑想の時間を取り入れていきたいと思っています。
今後はMBSRの経験を発展させるため、トラウマ・センシティブ・マインドフルネスの講義を受講する予定です。こちらは13ヶ月間のトレーニングで長丁場ですが、マインドフルネスとトラウマについて、もう一歩踏み込んで勉強しようと思っています。
MBSRの8週間プログラムで得たもの
大きく分けて5つのものを得ました。
①、お腹にある大きな手術痕(肋骨が内臓に突き刺さっているような違和感)との共存ができはじめてきた。
②、生活全体のペースが落ちたため、原因不明の焦燥感がなくなった。
③、いつもの自分に戻ってくるためのアンカーとして、呼吸、触覚、嗅覚が頼りになることに気づいた。
④、『頑張り過ぎない』『手放す』といったマインドフルネスの態度をもとに、人生のベクトルを変えようと思った。
⑤、『許す』『信じる』といった難しい決断は、まずは自分に対しておこなうものであると気づいた。
なにを言っているんだ? こいつは?
と思っていることでしょう。
この感覚は、MBSRの8週間プログラムを体験してみないと分かり合えないかもしれません。
う~ん。人生観が大きく変わったというわけではないのですが、それに近い感覚を持っているところです。
皆さんもご興味があればマインドフルネスにガチで取り組んでみるとイイかも知れません。
くり返しになりますが、DBTやMBSRに興味のある方が福祉関係者の人がいらっしゃれば、お声かけいただきたいと思います。
では、アディオス・アミーゴ
国家資格:公認心理師・精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士
その他:TSM(トラウマセンシティブマインドフルネス)修了・SE™プラクティショナー初級修了・TFTパートナー・ChatGPTエジソン塾1期生・整理収納アドバイザー2級 など
『努力すること』と『環境に助けてもらうこと』のバランスを研究し、自分自身の最適化を目指して精進中