【職員インタビュー】「ひとりで抱え込まずにすぐに助けてもらえる職場です」『笑プラス』柳川さん
生活介護『笑プラス』の生活支援員、柳川さんにお話をうかがいました。
2022年2月に入社し、約10ヶ月。
福祉系の大学出身で、社会福祉士の資格をお持ちですが、正職員で福祉職に就くのはSHIPが初めてだそうです。
卒業後、福祉の道を選ばなかった理由、その後転職先に笑プラスを選んだ理由、未経験で重度障害者支援に携わってみた感想など、お聞きしました。
一度はあきらめた福祉の道へ
--転職までの経緯や理由を教えてください。
柳川:福祉系の大学に通っていましたが、卒業後はIT系の企業に就職しました。SEとして2年間働きましたが、残業が多いなど雇用形態がブラック気味なのと、やりがいが感じられないこともあり、転職を決めました。
卒業後、最初に福祉以外の職に就いたのは、在学中に福祉の仕事をやっていく自信がなくなってしまったからです。
在学中は、福祉のアルバイトやボランティアをかけ持ちでおこなっていました。身体障害者のホームヘルパー、盲ろう者の通訳、精神障害者の演劇のお手伝いなど、どれも楽しくてやりがいがありました。
でも、ホームヘルパーのときに利用者様を怒らせてしまったり、支援が上手くいかずに利用者様が生活しづらくなってしまったのではと悩んだりする中で、自分には福祉の仕事が向いていないのではないかと感じ、卒業後はまったくちがう仕事を選びました。
それでも大学時代のアルバイトはやりがいがあったことを思い出しながら、やっぱり福祉の世界に戻りたいと考えていました。
--SHIPに入社したきっかけを教えてください。
柳川:就業場所や採用条件がよかった求人がSHIPでした。でも、一番の決め手は『職場見学』です。
笑プラスでは、実際の作業や散歩の様子を見学させてもらうことができました。スタッフの若林さんや原田さんからは支援の方針などの説明をもらいました。そのとき、障害支援区分5~6の人しかいないはずなのに、利用者様が全員、自分の席に座ってちゃんと自立して課題をこなしていることに驚きました。
在学中に社会福祉士の実習で行った別の施設では、同様の方々は席に座れないことが多く、仮に座っていても職員が常に付いていないと活動できない方が多かったです。
「どうして笑プラスの利用者様は席に座って課題ができるんだろう? 一体どういう支援なんだろう?」と興味を持ったことが入社のキッカケになりました。
全員が同じようにできる専門的支援
--実習先と笑プラスの支援は、具体的にはどこが違ったのでしょか?
柳川:実習先の施設は、笑プラスと同じ対象者(重度知的障害と自閉症のある人)を支援する入所施設で、日中活動も同じ施設内でおこなっているような環境でした。
視覚提示などはほとんど使わず、言葉で支援している施設でしたので、余りの時間があると「おしゃべりをしてあげて」と指示をされました。
指示の通りにがんばって話しかけていたのですが、そもそも言葉を理解できない方や、言葉の中の「単語」に反応して不穏になってしまう方もいて、活動にも支障が出てしまうことがありました。『これでいいのか?』と、疑問を感じながら実習していたことを覚えています。
SHIPの支援では「視覚的アプローチ」を優先的におこないます。言葉を極力使わない方法なので、実習先とはまったく違う支援方針でした。
たとえば、利用者様にトランジションカードを見せると、次の課題を理解され、スケジュール通り自発的に動くことができるのです。実習先ではうまく支援できなかったので、すごくビックリしました。
このような構造化支援の方法は、利用者様にも混乱が少ないですし、いろんなところで般化しやすいと思います。この職員ならできる、この職員ではできない、ということはなく、全員が同じようにできる支援というところも、すごく魅力を感じました。
--現在の仕事内容を教えてください。
柳川:最初にサービス管理責任者の原田さんと個別支援計画を立てて、利用者様のできることを増やせるように支援方針を検討します。
自立課題などの提供を通して、現時点でどこができていて、どこでつまずいているのか、課題を分析し、それに基づいてアセスメント、再構造化をおこなう流れです。
できていることは伸ばして、まだ芽生え段階の課題にはどうアプローチすれば「できる」に変わるかを考えて、支援内容を変更していきます。
現在、自分の担当ケースの利用者様は4名です。個別にちがった特性を持たれているので、それぞれに合わせれて、理解しやすく、見通しの立てやすい環境にできるよう支援をおこなっています。
支援の引き出しを増やすために
--仕事のやりがい、大変なところを教えてください。
柳川:観察して、アセスメントを重ねて、試行錯誤した結果、過ごしやすくなったり、できることが増えたとき、すごくうれしくて、やりがいを感じます。
大変なことはすごくいっぱいあるのですが、一番 感じていることは、自分自身の知識不足です。上手くいかないと悩んでも、現状、支援の引き出しは少なく、いいアイディアが浮かびません。
そんな時、先輩に相談すると、自分では絶対に思い浮かばないような発想が出てくるので、自分の知識不足や経験不足を痛感してしまいます。
--今後の目標・課題を教えてください。
柳川:知識・支援方法を学んで増やし、先輩たちのように「根拠のある支援」ができるようになりたいです。
その他、社内の資格サポート制度を利用して、精神保健福祉士の資格も取りたいと思っています。社会福祉士の資格は持っているのですが、福祉業界から離れていたこともあり、もっと学びたいと思っています。
「できることを増やす」ためのチャレンジできる職場
--職場の雰囲気を教えてください。
柳川:人間関係は本当にいいと感じています。先輩の職員やパートさんたちには、いつも助けてもらっています。
担当ケースの利用者様の情報も積極的に教えてもらえます。また、問題があったときや新しい支援を試したいときにも質問しやすく、アドバイスもたくさんもらえています。
何かあってもだれかしらに相談できるので、一人で抱え込まずに済むのは笑プラスの魅力だと思います。
学生の頃にしていたアルバイトは、ホームヘルパーでも、盲ろう者の通訳でも、利用者様と1対1の支援が基本でした。そのため、何かあっても助けを求めることができず、自分でどうにかしなければなりませんでした。
他害を受けるような場面では、受け続けるしか方法がなく、ケガをしてしまうこともありました。今は「チーム支援」なので、他害があっても本当にすぐに助けてもらえます。精神的にもすごく楽になりました。
利用者様は環境・状況によってコンディションが変わるので、誰かしら不穏だったり、いつものスケジュールの通りにはいかず、臨機応変な支援が必要になります。そんなことで、職場の全体的な雰囲気はいつもけっこう賑やかですね(笑)。
あとは、常に挑戦している、チャレンジできる職場だと思います。
上手くいかなくいことがあっても「こうしたらいいんじゃないか?」と話し合っているので、いつも新しい考えが浮かんでくる職場です。
また、利用者様の能力を決めつけない風土があります。できないことでも、なぜできないのか、どうすればできるようになるかを考えて、「できることを増やす」「笑顔を増やす」ために取り組んでいます。
--重度知的障害者支援に携わって感じたことを教えてください。
柳川:利用者様のことを深く知ると「障害者は怖い人たちじゃないんだよ」というのがわかります。笑プラスに来るまでは、私もちゃんとイメージできていなかったと思います。
同行支援で街中を散歩していると、声を上げたり、変わった行動を取られることもあるので、おそらく道で出会う子供たちや住民の人達には、怖いと感じる人もいるかと思います。
でも、自閉症や知的障害について、周囲の人たちの理解が進めば、地域での暮らしやすさは変わってくるのかなと思います。
みなさん一人ひとりがすごく個性的で、特徴・特性がちがうので、それぞれに合わせて支援方法も変わっていきます。支援と利用者様の特性が上手く合致すると、生活がしやすくなったり、できることが増えたり、劇的に変化する姿をみるのが、すごく面白いなと思います。
--最後に、どんな人と働きたいか、どんな人がSHIPに向いていると思うか、教えてください。
柳川:経験に関わらず、真面目に利用者様のことを考えられる人なら上手くいく職場ではないかと思います。未経験でも本当に優しく教えてもらえるので、やる気があれば問題ないと思います。
また、TEACCHプログラムをしっかりと導入している施設はあまりないと聞いています。ですから、経験者の方でも、他では学べないことを学びたいと、質を高めていくことに意欲のある方には魅力的な環境だと思います。
柳川さん、ありがとうございました。
笑プラスの職場のいい雰囲気が伝わってきましたね。
「本当にいつも助けてもらっている」と何度も仰っていましたが、支援に対しての意欲、意識はご本人の中にしっかりとあって、頼もしいなと感じました。経験を積んで、来年新しく後輩が入ってきたら、同じように助けていってほしいなと思います。
障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士