【職員インタビュー】「福祉の仕事がしたくて、入りました」『友』 高口さん
グループホーム「友」(とも) で世話人をされている高口(たかぐち)さん
接客業、そして写真館での事務を経て、障害者福祉に興味を持ち、SHIPへ入社されました。
その過程と、これからについてお話いただきました。
「福祉に行きたい」
――高口さんは、どのような経緯で「グループホーム友」に入られたのでしょうか?
高口
最初は、洋服やCDの販売をする職場で接客をしていました。その後、お子様の写真を撮影する会社で写真の補正・トリミングをする仕事をしていました。その会社で働いているときに、同じ部署に視覚障害をお持ちの方が入ってこられて、その方にどのように仕事をお教えしようかという話になりました。
私は以前、家族が社会福祉士の方にお世話になったことがあり、その経験で社会福祉士に興味を持って資格を取得していました。そのことから、会社内で障害をお持ちの方に仕事を教える担当になりました。最終的には、視覚障害・発達障害をお持ちの約20名の方に仕事を教えることになりました。
ただ、担当になってみたはいいものの、福祉業界ではない普通の会社だと、障害をお持ちの方が仕事をすること、そして障害をお持ちの方と共に仕事をすることに対して、なかなか理解が進んでいるとは言えなかった、というのが正直なところです。
それと同時に、障害当事者と仕事や生活をしていくことに興味が湧き始め、「福祉の仕事がしたい」「福祉(業界)に行きたい」と思うようになりました。
そこで転職活動を開始するのですが、親の介護をしていた関係で、まず何より車通勤ができて職場と自宅が近いことを優先しました。そういったことをハローワークの担当者にお話すると、その希望にそった求人を見つけてくれました。それが社会福祉法人SHIPの運営する就労継続支援B型事業所「エスプリ」の求人でした。
SHIPの採用面接では、面接担当の方がとても話しやすく、しっかりと業務内容を説明してくれたので、とても安心感がありました。そういった経緯もあり、SHIPに入社することを決めました。
「エスプリ」は障害のある利用者様と共にパンを作って売っているのですが、利用者様の人数はとても多く、まずそこに圧倒されてしまいました。さらに、パン作りは初めての経験でしたので、最初の頃は利用者様に教えてもらいながら作っていました。優しく教えてくださったのがとても印象に残っています。
パン作りはとても忙しく、店頭販売の他に、配送する商品も作らなければなりません。例えばロールパン1000個、あんぱん200個といった大量のパンを作って、時間までに届けなければならないという環境でした。職員として利用者様の支援をしながら、パン作りもしながらということもあり、毎日があっという間に過ぎていきました。
その後、同じSHIPの運営する「グループホーム友」で働き始めるのですが、異動にあたって1ヶ月間の研修をしてもらいました。「エスプリ」では経験のなかった重度の(知的)障害を持つ利用者様の支援はどのようにしていくかというもので、実地訓練や座学で研修を受けました。この事前研修は大変ありがたかったです。これがなければ、突然まったく経験のない行き当たりばったりの支援をすることになったはずで、かなり戸惑っていたと思います。
重度の知的障害をお持ちの方は、発語ができないことが多いです。したがって、写真やカードなどの視覚情報を用いてコミュニケーションを取る、いわゆる「構造化」という支援をする必要があります。それを研修で学ばずにいたとしたら、やはり咄嗟(とっさ)に言葉が出てきてしまいます。そのための研修をしっかり受けてから「友」で働き始めることになりました。
大変だったこと、やりがいを感じること
――SHIPの運営する「グループホーム友」に入って、どうでしたか?
高口
「友」では、利用者様の身の回りのお世話をする「世話人」をしています。利用者様の特徴はさまざまで知的障害の程度が「重度」「中軽度」に分かれています。
「友」は全部で3棟あり、1、2棟が男性で重度の利用者様、3棟が女性で中軽度の利用者様がいらっしゃいます。私は主に3棟を担当しています。重度の利用者様と違い、ある程度 自分でできることが多いこともあり、買い物や通院、電車に乗ったりすることなども含めて「できる部分を増やす」をモットーに支援をしています。
グループホームでの仕事が初めてだったこともあり、特に重度の利用者様の支援をするときは、結構大変でした。頭を壁にガンガン打ちつけたりする、いわゆる自傷行為や、他人へ危害を加える他害行為をする利用者様に対して、なぜ自傷や他害を行うのかが分からないときがあります。
また、グループホームは職員が常駐しているのですが、日勤と夜勤の連携を丁寧にしないといけません。このようなコミュニケーションや連携は、今でも大変だと思うことがあります。
対して、利用者様ができなかったことが『できるようになった』ときには、とてもやりがいを感じます。ある施設から「友」へ入居された女性の利用者様は、自分で買い物をしたことがありませんでした。そこで、買い物に同行してみたところ、「自分で好きな色の服を買っていいことをはじめて知った」という感想をいただきました。
その施設では、衣服は常に与えられるものであり、いつも色はグレイだったとのこと。その利用者様はピンク色の服が好きで、とても嬉しそうに服を選んで買い物をされていたのが印象的でした。
また、SHIPに入って「タスク管理」というものがあることを知り、それを学び、実践して良かったと感じています。仕事の優先順位をつけることができるようになりましたし、抜け漏れもなくなりました。また、タスクを細かい手順に細分化することで「実はこんなにやらなきゃいけないことがあった」ということが分かるようにもなりました。
例えば、役所への申請書の提出業務には、『申請書を作って、チェックしてもらって、修正して、印鑑をついて、送付して』といった手順があります。書き出してみるとびっくりするくらいたくさんの手順になります。
ただ、逆に「今日は10ある手順のうち4番目まで進めておけばよい」ということも分かるので、5番目以降の手順は翌日以降へ後回ししても良いという自信、そして4番目まではできているという安心感へとつながり、仕事を進める上でとても良い影響がありました。
和気あいあいな雰囲気、利用者様に「癒される」
――ところで、「友」はどのような利用者様が多いのですか?
高口
先ほどにも挙げたように、「友」は1棟から3棟まであります。1棟には、言葉が通じる利用者様が数名いらっしゃいます。基本的には、日常のルーチン行動、例えば着替えや歯磨きなどのいくつかはできます。でも歯磨きについては、ただ歯ブラシをこすりつけるだけだったりするなど、何らかの介助が必要になることが多いです。
2棟の利用者様は、言葉を持たない方がほとんどです。日常的に全介助(生活のほとんどに介助)の必要な方々になります。ただ、トイレなどは自分でできます。たまに自室で失禁などをされる方もいらっしゃいましたが、支援の効果もあって、そういったことはかなり減ってきています。
3棟には、部屋の掃除など身の回りを清潔にすることに課題を抱える利用者様が多いです。そのため、「洗濯は週何回しましょう」と決めたりしています。スケジュールにそって、支援者からのうながしによって洗濯をされる方もいらっしゃいますが、うながしだけでは難しい場合もしばしばです。
――「友」の雰囲気はどうでしょうか?
高口
和気あいあいで、しかもゆったりしているという印象です。グループホームでは、『現場の支援』と『デスクワーク』という大きく分けて2つの仕事があるのですが、デスクワークをやっていても支援をしなければいけないタイミングがあります。
そんなときに、「両方ともしっかりしないといけない!」などと 完璧主義に陥ることなく、イライラせずに「(デスクワークは)ま、いっか」と考えられる、そんな心地よい雰囲気があります。
また、個人的には利用者様とのコミュニケーションにとても良さを感じています。発語ができない利用者様が「ごはん」「おべんとう」など言葉を覚えて一生懸命に伝えようとしてくれるその姿勢や気持ちには、毎日の仕事の疲れも癒されてしまいます。
一緒に働きたいひと、自分のこれから
――ところで、SHIPでは、どんな人と一緒に働きたいですか?
高口
「友」に関していえば、色々なキャラクターのスタッフがいます。それでいいと思います。ただ、比較的『ゆったり構えられる』タイプの人が合っているかもしれません。支援者が焦っていると、それが利用者様に伝わってしまいます。
あとは、SHIPの理念に共感できる方ですね。その上で、成長したいという意欲が高い人が合うような気がします。SHIPはとにかく研修が充実しています。
――高口さんは、将来的にはどうなっていきたいですか?
高口
私は現場での仕事にとてもやりがいを感じています。異動前は中軽度の利用者様の支援に注力してきましたが、これからは重度の利用者様の支援もやっていきたいと考えています。
また、一人暮らしをしている方への支援もやりたいですね。
高口さん、ありがとうございます。
他業種から「福祉の仕事がしたい」とキャリアチェンジをした高口さん、
これからも頑張ってください!
フリーランス/リワークトレーナー/タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」原作者