【職員インタビュー】スキルアップのため転職「専門性」と「働きやすさ」にビックリ『友セカンド』遠藤さん
グループホーム『友セカンド』の世話人、遠藤さんにお話をうかがいました。
2018年から他の福祉施設で働き、2021年11月に入社されました。
介護福祉士の資格をお持ちのスタッフさんです。
TEACCHの経験を活かしたいと思い転職
--転職までの経緯や理由を教えてください。
遠藤
元々は博物館学芸員を目指していたのですが、なかなかうまくいかなかったのと、お世話になった大学教授が主催していた博物館のワークショップに参加したことがキッカケで福祉の仕事に就きました。
そのイベントはちょっとした物を作る催しだったのですが、そのときに知的障害のある人が自分に何か訴えかけてきました。
でも何を伝えたいのか理解できずにいると、その方はパニックになってしまったのです。
でも、その近くにいた支援者が話しかけたらなぜか落ち着いた、という出来事がありました。
後で聞いたところ、本人は人形劇をしているつもりだったのだそうです。そんなことを伝えていたんだなぁ、次はもっと理解できるといいなぁと思ったことが、福祉の世界に興味を持ったキッカケでした。
そして、大学を卒業後の2018年から地元の神奈川県の施設で福祉職に就きました。最初の半年は高齢者施設のデイサービス、3年半は障害者向けの生活介護、最後の半年は障害児向けの放課後等デイサービスで働きました。
転職した理由は、スキルアップのために仕事を探していたのと、職場での人間関係がいろいろあってですね・・・
自分にとってはいい機会だと思い東京に出ることにしました。
――SHIP(友セカンド)を転職先に選んだ理由を教えてください。
遠藤
転職先を探しているときに、人材紹介でいい法人だと紹介されて応募しました。
友セカンドの面接のときに、事業所の理念を説明され、「できないところより、できるところを見て伸ばしていく」というTEACCHプログラムの考え方を聞きました。
前職の施設でもTEACCHの考えに基づいて支援をしていたので、自分の経験も活かせるかも、と思いました。
また、グループホームのような居住系の施設は初めてだったので、経験してみたいと思ったのも理由です。
できそうなことを試していく支援で感じる喜び
――現在の仕事内容を教えてください。
遠藤
担当している利用者様は3名です。
着替えや入浴などの生活動作の全般を手伝ったり、日中の利用者様が不在のときには生活必需品を買い揃えたりと、生活全般の補助をしています。
また、「できる部分を増やす」ための新しい支援内容を考えて、サービス管理責任者の妹尾さんへ提案や相談をしています。
最近の例ですと、生活の質の向上を目的とした『洗濯物たたみ』の支援があります。
利用者様ご自身に「たたむ」ことにチャレンジしていただいたところ、「できそう」というスキルの芽生えを確認できました。
そこで、できる部分を増やしていく支援としてやってみてもいいかと提案し、現在、実際に取り組んでいるところです。
――友セカンドの支援対象は「重度の知的障害のある人」となりますが、実際にはどんな人たちなのでしょうか?
遠藤
私が担当している利用者様だと、意外とフレンドリーな人もいれば、引っ込み思案の人もいらっしゃいます。
でも総じて割と接しやすい人たちだなぁと感じています。
私は入社して一年半くらいが経つのですが、やっと「認めてもらえた」と、感じる利用者様もいらっしゃいます。
入社した当初は、その利用者様から避けられていました・・・
なにか困ったことがあっても、自分より長く働いていいるスタッフを頼っていましたが、一年くらい経って、ようやく自分にも「こうしてほしい」と訴えが来るようになってきました。
--仕事のやりがい、大変なところを教えてください。
遠藤
やりがいは支援がハマった時のスカッとする感じですね。
最近だと、先ほどの『洗濯物をたたむ支援』の中で感じました。
その人は、洗濯物をたたんだ後に「しまう」という行動が難しいことが分かりました。
スタッフみんなで工夫して、構造化支援の一環として分かりやすくマークを付けてみることにしました。
でも最初はそのマークがなかなか利用者様には理解できなくて、どうしたものかと思っていたのですが、そこに色を付けてみたのです。
そうしたらスッと理解できたんですよ!
それで、色のマッチングで理解を助けたことが分かったのと同時に、ものすごくスムーズに物事が進んでいったんです。
このように、いろいろと工夫する中で解決に至ったとき、そして利用者様が今までできなかったことができるようになったときの喜びが、自分にとってのやりがいなのかなぁと思います。
大変なことは油断ができないということですね。
思っている以上に行動が読めないのと同時に、ものすごく理解力があることに驚いています。
スタッフの鍵をパッと取って玄関のカギを開けて外に出てしまったり、突発的に他の人の部屋に入ってしまう、といったことが起こるので、それが今の悩みでもあります。
重度の知的障害や自閉症のある人たちは、アイドルタイム(なにもしない時間帯)の過ごし方が苦手というケースが多いです。友セカンドでもアイドルタイムでそのような不適応な行動が多く見られています。
ですから他の人の部屋に入ってしまうケースへの支援では、それを阻止するだけでなく、代わりとなる適切な行動を提示するようにしています。
「今は他にやるべきことがありますよ」と、音のなる本やもちゃなどの余暇グッズを用意して、他の人の部屋に入るのではなく、今すべきことの方に意識が向かうように支援しています。
今までの職場との ‟ちがい” にビックリ!
――職場の雰囲気を教えてください。
遠藤
多分、今まで一番いいかも知れないです。前の職場と比べたら全然ちがいます。
皆さん、ほんとうに和気あいあいとしていて、自分にとっても仕事をしやすい雰囲気です。
それに、困ったら先輩たちが助けてくれるという安心感があります。
多分、これから色々な人たちが新しく入って来たとしても、変わらず助けてくれるだろうなぁと思います。
――他にも前の職場との違いを感じるところはありますか?
遠藤
やっぱり専門性が違うと感じました。
TEACCHプログラムをしっかり教えてもらえ、そして実践できることです。
友セカンドだと、スケジュールを視覚的に提示するような「構造化支援」を「個別」でちゃんと提供しているところがスゴイと感じました!
前の施設でもやっていたのですが、私はかじった程度というか、かじりもしていなかったんだなぁと、スゴイなと思いました!
そんな専門的なことを最初から、基礎からしっかり教えてくれるので、経験がなくても入りやすいと思います。
――給与や休日など、働きやすさはどう感じていますか?
遠藤
年収は前職と比べて魅力的、正直、だいぶ違いますね。
やっぱりボーナスがまず前の法人の2倍くらいちがいます。最初こんなにもらっていいのかなとビックリしました!
あとは休日が多いのでゆっくり休めるところは嬉しいですね。
何ならどこかに出かけられるんじゃないかくらいの休みがあったりもするので、ちょっとビックリしちゃいますね。
しかも残業は無いですね。
前の施設は残業ばっかりで、出社の1時間くらい前から来ていることもざらでした。
SHIPではそういうことが一切ないので嬉しいというか、ビックリしているというか。
それで仕事はちゃんと回っているからビックリしちゃっています。
機会があれば資格サポート制度も利用したいとは思っています。
SHIPでは結構な人たちがこの制度を使って国家資格にチャレンジしていて、しかも合格して資格を取っているので、仕事しながらでも資格を取りやすい職場環境なのかなぁと思います。
職員のメンタル面などをケアしてくれる「職員サポート相談室」といったものは、今までの法人にはなかったのでビックリしているというか、福利厚生がしっかりしているんだと感じました!
関わりすぎないための支援スキルを身に着けたい
--今後の目標・課題を教えてください。
遠藤
利用者様たちが、もっと自立した生活が送れるような支援をしていきたいです。
本当はできるんだけど、こっちが必要以上に手伝ったり、関わりを持ち過ぎたりしてできなくなってしまうことがあります。
その原因は、本人がやると時間がかかり過ぎてしまうから、という支援者側の勝手な都合というものです。
SHIPに入って専門的な支援を実践してきた中で、本来だったら自分たちが関わらなくてもできることがたくさんあるんだと分かったので、人だけに頼らなくても済むような支援のスキルをたくさん身に着けていきたいと思っています。
それと、社会福祉士の資格は取りたいかなぁと思っています。
――どんな人と働きたいですか。また、どんな人がSHIPに向いていると思いますか。
遠藤
スキルアップをしたいという人たちだと思います!
SHIPはすごく勉強熱心で、研修がたくさんあったり、実践的な支援に関わるような勉強が開かれたり、ためになると思います。
研修を受けたところで「いざ現場で実践」となるとなかなか難しいと思うのですが、すぐ現場に活かせるような勉強会をしてくれるのですごく助かっています。
重度の知的障害や自閉症関連施設の内部研修は、月に1回ほどのペースで、若林さんや中村ひとみさんが来てくださって教えてもらえます。
最近だとABC分析の研修は自分の支援にも取り入れていきたいと思いました。とても参考になりました!
――最後に、福祉で長く働くための秘訣はどんなことだと思いますか?
遠藤
やっぱり変化に強い人、臨機応変に対応できる人、突発的なことにすぐ対応できる人、ということではないかと思います。
遠藤さん、ありがとうございました。
ビックリしまくっていましたね(笑)
同じ福祉職から転職した職員さんにここまで言ってもらえると、SHIPの職員ファーストの取り組みが実践されているのを感じます。
グループホームで長く働いていた身としては、共感できる話がたくさんあり、また残業などなく働けているという言葉には安心させられました。
今後もTEACCHに基づく支援を頑張ってほしいです!
障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士